日本代表の森保一監督が、クロアチア代表戦に向けた記者会見に出席。新しい景色を見るためへの意気込みを語った。

カタール・ワールドカップ(W杯)では、“死の組“とも言われた厳しいグループステージを首位で通過した日本。4度目のラウンド16に臨むことになるが、その相手は2018年のロシアW杯で準優勝に終わったクロアチアだ。

グループFを2位で通過したクロアチア。前回の準優勝を知る選手が多くいる実力国であり、日本にとっては新しい景色を見るためには越えなければいけない壁。4度目の挑戦で悲願のベスト8進出を目指す。

5日に試合を控え、前日記者会見に出席した森保監督は、冒頭クロアチア戦に向けた意気込みを語った。

「厳しいグループリーグを突破して、明日の決勝トーナメントのクロアチア戦に臨めること、非常に楽しみにしております。グループリーグの第3戦から、ここまでの準備期間も選手たちが非常に落ち着いて良い準備をしてくれています」

「明日の試合に向けても非常にタフで、激しく厳しく難しいものになると思いますが、選手たちにはこれまで積み上げてきたものを、明日の試合でも良い準備をして思い切って自分たちのプレーを発揮して守られたらと思います」

ベスト16の壁は前回大会でも日本の前で立ちはだかることに。ベルギー代表を相手に2点のリードを奪いながらも、最後の最後に逆転を許して敗退となった。

コーチとしてその試合を経験した森保監督は、ロシアでの悔しい思いを胸にチーム作りをしてきたとコメント。また、これまでの日本サッカーが積み上げてきたもの、経験してきたものを結集して臨みたいと語った。

「前回のロシアW杯でもベスト16の壁を破るというチャレンジをした中で、十分ベスト8に行けるだけのチームでの戦いはできていたと思います。しかしながら、結果的に我々はラウンド16で大会をさらなければいけなくなったというところで、気持ちの部分で悔しさはコーチングスタッフの1人として持っていますし、戦い方の部分でいちコーチとしてできたこと、監督への助言だったり、戦い方の中であの経験があったからこそ、今のチームに成果と課題を活かしていこうということで、今回のカタールW杯へのチーム作りをしてきました」

「ただロシアW杯のベルギー戦だけの悔しさでこのカタールW杯に臨んでいるわけではありません。日本サッカーの全ての歴史の積み上げ。W杯6大会出てきた中での経験の素晴らしい積み上げを、さらにこのチームに生かしていく。戦いに生かしていくということをこれまでもやってきました」

「明日の試合には、これまでの日本のサッカーの積み上げと、選手たちがこのチームで積み上げてきてくれたこと。(長友)佑都は悔しさを持って明日の試合、自分の成長に繋げながら戦ってくれると思いますが、この経験を知らない選手もいると思いますし、いずれにしても明日の試合は勝つために我々が戦うということ。これまでの積み上げからこれからの成長につながる戦いができればと思います」

初めてW杯に出場してから24年。その前に森保監督は「ドーハの悲劇」と呼ばれるW杯最終予選での悔しい思いも選手として経験しており、多くの積み上げをぶつけて新しい景色を見ようとしている。

グループステージとは違い、引き分けが存在しないノックアウトステージ。森保監督は、試合の考え方を語った。

「まずは総力戦ということで、チームの総合力で戦っていきたいです。120分の試合を考えると交代枠は5+1で6人使えます。明日の試合もチーム全体で試合を繋いで、我々が最後試合をものにするとしてやっていきたいです」

「できれば理想は前半から相手を圧倒して、圧力をかけて戦いに臨みたいと思います。このグループステージ3試合も入りのところはそういう入り方で、できれば試合をコントロールしてアグレッシブに戦いたいと選手たちに伝えて、チームの戦いにつなげています」

「実際我々が理想に描いた相手を圧倒していこうと思っても、相手が強いので、そうなった時には自分たちも我慢強く、粘り強くというところを選手たちが試合の流れを見ながら、非常に賢く粘り強く戦ってくれたことがグループリーグだと思います」

「最初から守って戦うことはしたくないですし、勇気を持って勇敢に戦ってもらえるように準備をしていきたいと思います。クロアチアも色々な戦い方ができるチームなので、我々も理想と現実を見て、選手たちには最終的に試合をものにできる戦いをしてもらいたいと思います」

理想を追い求めながらも、現実的な戦いを選択すると語った森保監督。4年前からの進化については、選手個々のレベルアップを上げた。

「日本が進化した点は、選手個々のレベルアップだと思います。もともと日本の良さである組織力、和の力を持って戦うということはチーム作りの中で考えてきましたが、選手個々の能力がなければ、いくら組織力で戦うと言っても相手に打ち勝つことはできません」

「この4年間一番感じさせてもらっているのは色々な戦術の積み上げがある中でも、選手個々の成長が大きいかなと思っています」

ヨーロッパで、さらにトップリーグで経験を多く積んでいる選手が集まる現在の日本代表。その中で、ベスト8に向けて表現してほしいことを語った。

「まずは明日の試合に勝つ、ベスト16の壁を破るという志していた強い気持ちを持ってプレーしてもらうことが大切だと思いますし、試合中のプレーの中では、勝つために必要な勇気を持って勇敢に戦うチャレンジする姿勢を持ってもらいたいと思います」

「私自身が一番思っているのは、選手たちが自然体で試合に臨んでもらえるようにということを持っています。自然体というと全然力が入っていないように聞こえるかもしれないですが、勝ちたいという気持ちを強く持って、勇気を持って勇敢に戦うということを絶対的に持ちながらも、普段やっていることを個人として100%発揮する。チームとしてお互いが支え合って、一丸となって、力を発揮するということをやってもらいたいなと思います」

「スペインとの試合、ドイツとの試合でも選手たちが見せてくれた中で、チーム一丸となってタフに粘り強く最後まで戦い抜くということを選手たちが見せてくれたと思います。自然体で力を発揮することによって、結果が後からついてくることを選手たちが示してくれたと思いますので、相手のことも大切ですが、自分たちが持っている力を明日の試合でも出し切るということを自然に考えて出し切ることを考えてほしいと思います」

その上では警戒しなければいけないクロアチアのチーム。かつてサンフレッチェ広島時代に指導したミハエル・ミキッチの名前を出し、素晴らしいチームだと印象を語った。

「クロアチアは世界的にもトップクラスの選手がいる、チームとしてもロシアW杯ではファイナリストになり、素晴らしいチームだと思っています。もちろん我々は明日勝利を目指して戦うことには変わりないですが、リスペクトしているチームでもあります」

「印象としては、非常に賢く戦える試合巧者だと思います。色々な試合の流れに対応できる部分。ロシアW杯では、延長3試合で決勝に行っているというところ。今回のW杯も0-0の引き分け2つと勝利というところで、我慢強さも持ち合わせて、試合をものにできるという非常にタフなチームだと思っています」

「明日の試合は間違いなく難しいものになると思いますが、選手たちも逆に強い相手だからこそ燃えると思うので、戦いを楽しみにしています」

「色々な選手や指導者を知っていますが、特に私がJリーグでサンフレッチェ広島で監督をやっていた時に、ミキッチ選手と一緒に仕事をしていました。彼と素晴らしい思い出ができたということです。彼から色々な情報が漏れないようにということがあればと思います。ジョークです笑」

日本が新しい景色を見るために立ちはだかるクロアチア。決戦は5日の24時キックオフだ。