【試合展望】アルゼンチンはFWアルバレスが攻撃のキーマンか

 カタール・ワールドカップ(W杯)は、いよいよ準々決勝がスタートする。初優勝を狙う欧州の強豪オランダ代表が、FWリオネル・メッシにとって最後のW杯になるアルゼンチン代表と激突。また、日本代表にPK戦で勝利したクロアチア代表は、優勝候補筆頭との呼び声も高い南米のサッカー王国ブラジル代表と対戦する。

■クロアチア(グループF・2位)×ブラジル(グループG・1位)
準々決勝
キックオフ:現地時間12月9日18時(日本時間10日0時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:ヨシュコ・グバルディオル(クロアチア)、ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル)

 ここまでW杯で直近8試合中7試合を延長戦にもつれ込んだ末に勝利しているクロアチアと、初戦で負傷したFWネイマールも復帰したブラジルの対戦は、W杯では2戦してブラジルの2勝。2006年ドイツW杯、2014年ブラジルW杯でグループリーグの同組に入っていた。特にブラジルW杯は開幕戦で、クロアチアが先制するもブラジルが逆転勝利。日本の西村雄一レフェリーによるPK判定も話題になった。

 クロアチアは日本戦で120分間を戦った後だけに、疲労の蓄積は懸念材料。しかし、前回ロシアW杯では決勝トーナメント1回戦から準決勝まで全て延長戦かPK戦で勝利して決勝まで進んだだけに、むしろその粘り強さによる成功体験と捉える向きもあるかもしれない。とはいえ、強力な攻撃陣を持つブラジルを相手に前半からゴールを重ねられれば、疲労を思い出してしまうような展開もあり得る。DFヨシュコ・グバルディオルやDFデヤン・ロブレンによる踏ん張りは絶対的に必要だろう。

 ブラジルは韓国代表を相手に4-1と力の差を見せつける大勝。前半の4得点で後半はゲームをコントロールしていただけに、通常の90分間のプレーよりさらに疲労も少ないかもしれない。今大会、左ウイングの位置から仕掛けるFWヴィニシウス・ジュニオールのプレーはクオリティーが非常に高い。左サイドで彼が躍動する限り、相手のマークを引き受けて他の選手がフリーになるという好循環も生まれる。間違いなく試合のキーマンの一人になるだろう。

■オランダ(グループA・1位)×アルゼンチン(グループC・2位)
準々決勝
キックオフ:現地時間12月9日22時(日本時間10日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:コーディ・ガクポ(オランダ)、フリアン・アルバレス(アルゼンチン)

 強豪オランダとアルゼンチンの対戦は、W杯では1978年の自国開催決勝でアルゼンチンが優勝を決めた時のカード。他にも2014年ブラジルW杯では準決勝でアルゼンチンがPK勝ちしている。一方で1998年フランスW杯では、オランダのFWデニス・ベルカンプがロングボールを芸術的なトラップで抑えて冷静に決める、現在でもW杯ベストゴールにノミネートされるような一撃によりオランダが勝利している。また、この試合はアルゼンチンのリオネル・スカローニ監督が44歳で今大会の最年少、オランダのルイス・ファン・ハール監督が70歳で今大会の最年長という監督対決でもある。

 オランダは非常に整理されたサッカーで相手ボール時には5バックで幅を消し、攻撃には両翼が駆け上がってくる形で組み立ててきた。決勝トーナメント1回戦では右サイドのDFデンゼル・ダンフリースが1得点2アシストの活躍をするなど、機能性が高い。エースのFWメンフィス・デパイは負傷を抱えながら大会入りして徐々にコンディションを上げているが、グループリーグ3試合連続ゴールのFWコーディ・ガクポは、この山を越えれば世界的スターの一人にまでブレークしそうだ。

 アルゼンチンはメッシを4-3-3のセンターFWとしてゼロトップ気味に配置することでバランスを生み出している。また、基本形がそのようなシステムでありながら流動性が高く、その点ではオランダと対照的な一面もあると言えるだろう。攻撃陣が大会中に固まっていくなかで、FWフリアン・アルバレスがチーム内でも地位を確立した感がある。FWラウタロ・マルティネスやMFアンヘル・ディマリアといった個々の突破力に優れるタイプもいるが、アルゼンチンの連動した攻撃にはアルバレスやMFエンソ・フェルナンデスが絡んできそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)