フォーデンにピッタリな起用法は未だ見つかっていない
マンチェスター・シティのフィル・フォーデンは将来を嘱望されている選手だ。22歳と若く、シティではすでにその地位を確立している。
フォーデンがトップチームでの出場機会を増やすようになった頃はダビド・シルバの後継者と呼ばれていた。現在レアル・ソシエダでプレイするシルバはシティで長く活躍しており、攻撃面で大きな貢献を残した。狭いエリアでボールを失わないテクニックの高さ、アタッキングサードでの豊富なパスのアイデアと武器が多く、シティでは436試合に出場したレジェンドだ。
フォーデンもその道に進むかと思われたが、ジョゼップ・グアルディオラ監督はより攻撃的なポジションでフォーデンを起用している。[4-3-3]であれば左ウイング、偽9番としてセンターフォワードの位置に立つことがある。得点力は年々成長しており、今季はすでに7ゴール3アシストを記録している。
非常に器用な選手だが、左サイドでの突破力は物足らない。推進力のあるドリブルを見せる選手だが、特筆してスピードがあるわけではなく、シンプルな突破からのプレイは少ない。サイドに置くなら利き足と逆サイドになる右サイドがいい。フォーデンは左足から強烈なミドルシュートを放つことができ、プレイの幅が増える。
シティでは左サイド起用が多く、そのためかイングランド代表でも左サイドに立つことが多い。FIFAワールドカップ・カタール大会ラウンド8のフランス戦では左サイドで起用されたが、それほど目立つことはできなかった。英『90min』での評価はジョーダン・ヘンダーソンと並んでフォーデンには最低評価が与えられている。
米『ESPN』ではフォーデンがイングランドのアントワーヌ・グリーズマンになれると主張する。
イングランド代表にはタレントが揃っているが、そのパフォーマンスは個に依存する。ゆっくりとした横パス、予測可能な動き、ゴール前へのクロスと分かりやすい攻撃が基本であり、タレントの能力の高さでここまで進んできた。ただタレント同士のレベルが同じ、もしくは少し上になると苦戦する。ラウンド8で敗れたフランスはまさにそんな相手だった。
イングランドに必要だったのは中央でグリーズマンのように攻撃のリズムを変え、守備でも走れる選手だ。
フォーデンはインサイドハーフ、トップ下でもプレイ可能であり、イングランドのグリーズマンになることができる。推進力のあるドリブル、少しゴールから離れた位置からのパスやシュートとプレイメイカーとしての素質を秘めている。守備強度ももちろん高く、フォーデンをサイドで起用するのは勿体ない。フランス戦ではヘンダーソンがインサイドハーフ起用されたが、フォーデンを中盤で使い、左サイドにはマーカス・ラッシュフォードやジャック・グリーリッシュといった異なるタレントを使うべきだった。
有り余る才能を使い切れなかったイングランド代表。シティでは今後ポジションを中盤に下げる計画があるようで、どのような選手になるのか注目だ。