ロンドン在住のフランス人記者フレデリック氏が日本人選手の可能性に言及

 カタール・ワールドカップ(W杯)を戦った日本代表選手たちは今後、日本がさらに強くなっていくためには、ビッグクラブでプレーする選手が増えることが必要だという認識を口にしていた。日常を世界最高レベルにすることが、個の強化につながり、代表チームの強化につながるというのは、間違いないだろう。

 現在の日本代表でビッグクラブに所属している選手といえば、イングランド1部アーセナルに所属しているDF冨安健洋になるだろう。最近は負傷が多いものの、右サイドバックのレギュラーである24歳は、イングランドでどのような評価を得ているのか。ロンドン在住のフランス人記者ハッペ・フレデリック記者に訊いた。

「冨安は、とても良い選手で、アーセナルが本当に必要としていたタイプの選手だ。とても信頼できて、力強く、冷静。(ウィリアン・)サリバ、ガブリエウ(・マガリャンイス)といった選手たちとの連係も良い。昨シーズンからアーセナルの守備面で、大きな改善をもたらしている。昨シーズンの途中から負傷に苦しめられているが、プレミアリーグ全体のなかでも守備力は高く評価されているよ。最近のアーセナルは良い補強をしているけれど、その皮切りになった1人だね」

 フレデリック記者は、カタールW杯で日本代表がドイツ代表とスペイン代表に勝利したことが、さらなる日本人プレミアリーガー誕生の可能性を広げるのではないかと考えているようだ。

「日本代表は今回のW杯で、本当に競争力があることを示した。スコットランド1部のセルティックにも複数の日本人選手が在籍しているが、これらはプレミアリーグのクラブが日本人選手に対して関心を抱くきっかけになるだろう。近い将来、プレミアリーグにはもっと多くの日本人選手が加入するかもしれない。サッカーの側面で彼らはチームに新たなものをもたらしてくれるからね。ほとんどの選手が失敗せず、成功をしているからね」

 日本では、昨シーズンまでリバプールに在籍していたMF南野拓実(ASモナコ)は、成功できなかったと考えられている。実際にレギュラーとして、重要な試合でプレーできなかったのは事実だ。それでも、「南野拓実についても、決してネガティブに評価されていない」と、フレデリック記者は言う。

南野のPK失敗「残念だった」が「全く問題ない」と今後へ期待

「リバプールは、あまり多くの選手を起用するクラブではなかった。しかも、(モハメド・)サラー、(ロベルト・)フィルミーノ、(サディオ・)マネ、(ディオゴ・)ジョッタがいたため、南野は十分なプレー機会をもらえずに、本来の力を見せることができなかった。より多くの出場時間が得られるクラブへ移籍するべきだったと思うし、彼もまだ十分に若い。

(リバプールは)ザルツブルクとの直接対戦で、彼の活躍を見て獲得を決めたけれど、移籍金は750万ポンド(約12億円)と格安のバーゲン選手で、最後は加入した時以上の金額(1500万ユーロ=約21億円)を残していった。彼の視点からは、あまり良い移籍にならなかったが、リバプールからオファーが来たら、ほとんどの選手が『イエス』と答えるだろう。だが、与えられるべき時間がなかった。クラブも彼のことが大好きだったから、残念だよ。モナコで再び、存在感を示してくれるはずだ」

 さらにフレデリック記者は「彼のPKは残念だった」と、W杯ラウンド16のクロアチア代表戦(1-1/PK1-3)でのPK失敗について言及した。

「日本がどれだけPKに時間を割いたのか知らないけれど、PKはスター選手も外すものだ。オランダ代表のDFフィルジル・ファン・ダイクも失敗したようにね。南野はPK失敗のことを考え過ぎずに、自分の未来に集中するべきだ。自分のキャリアと向き合えば、全く問題ない」

 世界的に知られるビッグクラブでプレーする機会を得た冨安と南野だが、しっかりとチーム内で評価される存在となっている。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)