欧州の最新トレンドを知る監督は魅力的に映る
ブラジル代表は外国人監督を招聘すべきなのか。優勝候補と言われながらFIFAワールドカップ・カタール大会でベスト8敗退に終わり、次なる人事に注目が集まっている。
2016年よりチームを指揮してきたチッチは81試合こなし、その成績は61勝13分7敗と高い勝率を残している。しかし、FIFAワールドカップではベスト8の壁を破れなかった。南米での戦いは見事だったが、FIFAワールドカップでの成績はサッカー王国を納得させられるものではない。
チッチはすでに退任を表明しており、ブラジル代表は新たな指揮官の下で4年後のFIFAワールドカップを目指すことになる。気になるのは後任人事だ。これまでブラジルは自国の指揮官にこだわってきたが、最近はレアル・マドリードを指揮するカルロ・アンチェロッティの名前も候補に浮上していた。
代表監督は自国から選ぶべきなのか、それともトップリーグでの成功体験を持つ外国人監督を招聘すべきなのか。これは代表チームで常に議論されるテーマだ。自国から選んだ方が選手とのコミュニケーションが取りやすいのは事実だろう。しかし、ブラジルならチッチも欧州トップクラブを指揮した経験は持っていなかった。ワールドカップでの成功を目指すうえで、チャンピオンズリーグなど欧州トップの経験を持っている人物の方が戦術的には信用しやすいとも言える。サッカーの最新トレンドが欧州で生まれる傾向にあることを考えても、それこそアンチェロッティやジョゼップ・グアルディオラのような人物は魅力的だ。
英『The Guardian』もブラジルの監督選びに注目しているが、元ブラジル代表FWリバウド氏は以前こう発言していた。
「外国人監督の招聘はブラジル人監督へ敬意を欠く。国内にはブラジル代表を指揮するだけの力を持つ者がいる。外国人監督も優れているが、セレソンは我々のものであり、ブラジルをよく知る者によって指揮されるべきだ」
これも一理あるだろう。特にブラジルのような強豪国は自分たちのサッカー哲学に絶対の自信を持っている。
一方、ブラジル代表の将来を担うと期待されるFWヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、DFエデル・ミリトンはレアルでアンチェロッティが育てた選手でもある。自国の監督でなければダメということもないはずで、やはり欧州トップリーグでの経験を持っているのは大きな強みだ。
これは日本代表も同様だ。今回は森保一監督の下でベスト16の成績を残したが、今後も日本人監督にこだわっていくべきなのだろうか。FIFAワールドカップ・カタール大会が終わり、監督選びの話題が各国で熱を帯びている。