人材が揃っている
ここまでパラグアイ代表とブラジル代表と対戦し、1勝1敗の成績を残した日本代表。ブラジル相手にも0-1と接戦を演じており、引き分けで試合を終える可能性もあった。
アジア最終予選と6月の2試合のテストゲームを通じて感じたことは日本代表の守備陣の充実ぶりだ。アジア最終予選では10試合を戦って失点は4と少なくグループBでは最少の数字である。6月の2試合はアジア最終予選から相手のレベルは上がったが2失点と少なく、パラグアイ戦はミスがなければクリーンシートを達成できた可能性は高い。
6月のテストゲームでは板倉滉、伊藤洋輝、長友佑都が評価を上げた。板倉はアジア最終予選の終盤から起用されるようになっており、ブラジル戦では吉田麻也と共に先発に名を連ねた。ボールホルダーに寄せるタイミングが正確で、ボックス内では壁となってシュートを防ぐ。センターバック以外でも中盤でプレイできるユーティリティ性を持っており、ガーナ戦ではどちらのポジションで起用されるか。
伊藤は今季シュツットガルトで評価を高めた守備者で、アジア最終予選でも招集を期待する声は多かった。6月のテストゲームで満を持して招集されており、パラグアイ戦では左サイドバックとして起用された。安定した守備力、後方でのビルドアップで存在感を示す技術力、オーバーラップして攻撃参加するタイミングなどどれも正確で、一気に左サイドバックの序列を覆した可能性が高い。シュツットガルトでは3バックの左や4バックのセンターバックとして使われることが多く、ガーナ戦では中央での起用が見たい。
長友は10年以上前から日本代表でプレイを続ける鉄人だが、近年は評価を下げてしまっている。攻撃時の迫力不足が主な原因だが、ブラジル戦では対峙するヴィニシウス・ジュニオールを完封し、SNS上では「長友さすが」と称賛の声を集めた。W杯で日本は守備的になることが多く、サイドバックは攻撃参加が難しくなる。長友としては好都合であり、ブラジル戦では長友の強みだけが出た。10日のガーナ戦、14日のチリ、もしくはチュニジア戦はブラジル戦ほど攻められることはないため、長友としてはブラジル戦よりも難しいゲームになるかもしれない。
今挙げた板倉、伊藤、長友以外にもアーセナルで評価を高めた冨安健洋、守備陣の柱吉田麻也らがおり、今回は21歳の菅原由勢が呼ばれている。残念ながら怪我でプレイできていないが、菅原のような若い世代もフル代表に割って入ってきている。
同時期にこれだけ守備陣が充実することはそうない。冨安の怪我は残念だが万全であればセンターバックと右サイドバックでプレイし、どちらもプレミアリーグの上位で通用するレベルだ。そんな冨安が不在でも戦えているのは板倉の台頭が大きく、問題視されていた左サイドバックには伊藤という新星が現れた。伊藤、板倉、冨安で3バックを組む可能性もあり、期待は膨らむ。酒井宏樹、長友、吉田らベテラン勢が彼らを支え、今の守備陣がより強化されればドイツ代表やスペイン代表も簡単に崩せないブロックが完成するだろう。