国内組で臨むE-1選手権。森保ジャパンに名を連ねる23人の顔ぶれは? 東京新聞の唐沢裕亮記者に、独断と偏見で選んでもらった。異論は、認める。
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カタール・ワールドカップ開幕まで5か月を切った。国内組だけの構成とはいえ、E-1選手権は残り少ない代表活動の一つ。大会前最後のIMD(インターナショナルマッチデー)となる9月の活動にいかにつなげるかの観点で人選する。
6月の国際Aマッチ4連戦に向けて選ばれたJリーグ勢に加え、本番にも意味を持つように、今回不在の欧州組と特長が比較的似ている選手を選考したい。シミュレーションを意識し、布陣は「4-3-3」。特定のクラブの選手が偏らないように1クラブからの選出は上限3人で考える。
中盤ではボランチタイプの大島僚太(川崎)と稲垣祥(名古屋)をインサイドハーフに推したい。遠藤航(シュツットガルト)と同様にボール奪取に優れる橋本拳人(神戸)をアンカーに置く。
代表の主軸に成長した田中碧(デュッセルドルフ)と守田英正(スポルティング)が川崎時代に薫陶を受けた存在でもある大島は、長期の怪我明けで万全とは言えないかもしれないが、ボールを持つ能力、視野広さ、スルーパスの鋭さはJ1屈指。運動量は限られるが、その分は汗かき役でゴール前にも入っていける稲垣がカバーできる。
右ウイングは「仮想」伊東純也(ヘンク)として、同じスピードタイプの宮市亮(横浜)、左は縦突破ではなく中央でのコンビネーションで生きるタイプの南野拓実(モナコ)と特長が重なる江坂任(浦和)を配置。最前線には武藤嘉紀(神戸)が立つ。左の控えは三笘薫(ブライトン)と同じく縦突破のドリブルが武器の相馬勇紀(名古屋)、右はカットインが堂安律(フライブルク)と類似性のある金子拓郎(札幌)とする。
練度を高める貴重な機会だけに、6月に招集されたGK権田修一(清水)とCB谷口彰悟(川崎)、右SB山根視来(川崎)は引き続き守備の軸を担う。森保一監督が招集を見送ると明言した長友佑都(FC東京)に代わる左SBは、好調な鹿島で主力を務める安西幸輝がいいのではないか。
ワールドカップで主軸となりそうな欧州組が不在のE-1選手権では、メンバーの顔ぶれが一変し、これまでと地続きの強化にはなりにくい。ならば9月以降の活動を見据え、さまざまなアプローチを試す場と割り切ることも必要だ。
選出される選手の大半は代表常連ではない。逆に言えば、短期間で具体的にどう戦術を落とし込むか、コーチングスタッフにとって格好のシミュレーションになる。
6月の活動の最後に三笘はチームの課題として、攻撃の決まり事やバリエーションを増やしていく必要性を訴えた。今回は特に、普段代表で一緒にやっていないメンバーばかりの急造チーム。チームとして攻守にデザインした具体的な「型」を示し、選手たちが同じ絵を描けるように促すことが、これまで以上に求められる。負けが許されない日韓戦もあり、選手以上にスタッフ陣の力もまた試される。
取材・文●唐沢裕亮(東京新聞)
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