チームを躍進に導くのか

11月に開催されるワールドカップ・カタール大会。今大会は開催地であるカタールの気温を考慮し、夏ではなく冬の開催となる。そのため例年と異なる点がいくつかある。その一つが大会前の事前キャンプである。イングランドのプレミアリーグは11月12日まで試合を行い、その約一週間後にW杯本戦が始まる。そのため各国が全選手を集めて準備する期間が極めて短い。例年通りでいえば本戦までに1ヵ月ほどの事前キャンプが行われるが、今回はそんな時間がない。そのため思わぬ苦戦を強いられる強豪国が出てきてもおかしくない。

そんな状況で本戦を迎えることになるが、開催国カタールは事前準備で有利に立とうとしている。英『BBC』によればカタール代表は先日発表された27人のメンバーで6月から11月までトレーニングキャンプを行い、選手間の連携を深めているようだ。すでにキャンプでのトレーニングは始まっており、先日のウディネーゼとの親善試合には2-1で勝利している。

単純に考えれば事前キャンプが長ければ長いほどに大会への準備は万全にある。連携やセットプレイでの約束事など細かいことを決めることができ、成熟度は増される。代表に選ばれた選手は各クラブに派遣されず8月1日から開幕するカタール・スターズリーグを戦う、アルサッドのアクラム・アフィーフらがリーグ戦を欠場して代表活動に集中するようだ。

「このアイデアは完全にクレイジーというわけではないが、奇妙なことだ」

スターズリーグの関係者はこの6カ月のトレーニングを「奇妙」と表現している。自国開催であり、準備することは大事だが、さすがに6カ月は長い。

反対意見として「競争力のある試合に出られないことが最大の欠点だ」としている。今後も本戦までにテストゲームはいくつか用意されているが、それはあくまでもトレーニングマッチであり、真剣勝負ではない。そのため選手のモチベーションが燃え尽きてしまう可能性があると考えられている。

日本代表や欧州、南米の強豪が1週間ほどしか事前準備ができてないと予想される中、約6カ月かけてトレーニングキャンプを行うカタール代表。連携面での向上は間違いないが、同紙が指摘するモチベーションの維持は確かに大変そうだ。実戦からも離れることになり、この前代未聞のトレーニングは成功を収めるのだろうか。