つなぎ、守備はある程度再現できる

欧州で行われているUEFAネーションズリーグは第5節までが終了しており、力のあるクラブ同士が熱戦を繰り広げている。とくにLeagueAGroup3はイタリア、イングランド、ドイツ、ハンガリーと強豪が揃っており、どこが次のステージに進むのか注目されていた。

そんなLeagueAGroup3にて5節終了時点でグループ首位に立っているのがハンガリー代表だ。ワールドカップ・カタール大会には出場しない同代表だが、このネーションズリーグでは好調であり、グループステージは3勝1分1敗の勝ち点10で単独首位に立っている。直近のドイツ戦では1-0と勝利しており、並み居る強豪を退けている。

ハンガリーが破ったドイツは日本代表がW杯・カタール大会で戦う相手であり、ハンガリーのスタイルから何か学べるものはあるはずだ。

基本的には堅守速攻をスタイルとしており、システムは[3-4-3]。守備時は5バックになって中央に人を集める。

堅守速攻といっても後方からは丁寧にボールをつなぐチームだ。GKはライプツィヒのペーテル・グラーチ、CBにはヴィリ・オルバンがおり、中盤の選手と連動してドイツのプレッシャーをかわしていく。前線では同じくライプツィヒのドミニク・ソボスライが中心となってウイングバックのミロシュ・ケルケズ、アティラ・フィオラを生かしてアタッキングサードまでボールを進める。攻撃時は多くの選手がボックス内に走り込み、ターゲットを増やす。守備時の強度は高く、90分で19回のインターセプトを成功させている。

ここは日本代表もアメリカ戦で同じようなことをしており、最終ラインには冨安健洋、前線には鎌田大地とハンガリー代表に引けを取らない人材がいる。

守備時の5バック化は参考になる。日本代表もアメリカ戦終盤に原口元気を投入して5バック化しており、守備強度を高めていた。ドイツ戦でこれを実行するならタイミングが重要になる。強度を伴うことは必要だが、完全に引いた相手を崩すのはドイツ代表でも難しい。あの手この手で崩しを試みるが、結局ノーゴールに終わっている。

森保ジャパンとハンガリー代表の決定的な違いはセットプレイでの期待感か。ハンガリー代表はドイツ戦で3本のコーナーキックから1ゴールを挙げている。対するサムライブルーは8本のコーナーキックを得たが、アメリカ戦でチャンスにつながることはできなかった。

単純にハンガリーにはFWアダム・サライをはじめ190cm越えの選手が数人おり、そこがアドバンテージになっているともいえるが、日本にも吉田麻也、冨安と大きな選手はいる。やはりどう工夫しているのか、そういった差になる。ドイツ戦でのゴールはニアサイドにアダム・サライが走り込んでゴールネットを揺らしている。またソボスライのキックは高精度であり、キッカーの不在も日本にとっては苦しいところだ。日本代表はセットプレイコーチとして菅原大介氏をチームに加えており、エクアドル戦では何か変化が見られるか。

ドイツを撃破したハンガリーのようなビルドアップも、守備もある程度の再現はできるが、得点をどう奪うかは最大の課題となる。ハンガリーはこのネーションズリーグでカウンターやセットプレイからゴールを奪っており、参考になる点は多いといえる(データは『SofaScore』より)。