ことし11月20日に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。ワールドカップを制覇した各国チームと選手たちを追うNetflixのドキュメンタリー番組『チャンピオンへの軌跡』(エピソード4「ブラジル:サッカーの王様」)において、W杯におけるブラジル代表の歴史を振り返ることができる。
ペレなどの偉大なプレーヤーを生み、W杯で最多となる5度の優勝を誇るサッカー王国、ブラジル。独特のリズムで当惑させる“ジンガ”ドリブルなど高度なテクニックで魅せるブラジルのサッカーは、“芸術的サッカー“とも呼ばれたこともある。元ブラジル代表監督のカルロス・アルベルト・パレイラは「僕たちはサンバが好きだ。リズムがあるブラジル人の身のこなし。僕たちのサッカーのやり方は維持されなきゃいけない」と、フィールドの足取りがまるで踊っているかのように見えるブラジルのサッカーへの思いを明かす。
元ブラジル代表のロベルト・リベリーノが「サッカーはいつもブラジル人の一部だ」と語るように、ブラジルではサッカーが生活の一部として溶け込んでいる。その背景には「ブラジルは大きな国で非常に不公平な人口を持っている。90%の国民はサッカーだけが社会的地位を上げる効果的手段だと信じている」ことも関係していると歴史家レオナルド・ペレイラ博士は語る。
多くのブラジル代表選手たちはサッカーを始める子どもの頃から同じ夢を追いかけてきた。それは「いつかブラジル代表の(カナリア色の)ジャージを着ること」、そして「ワールドカップを征服すること」。そんな夢を語るのは、自身の子の誕生を祝う“ゆりかごダンス”の生みの親で、鹿島アントラーズにも所属していたロベルト・ガマ“ベベット”や、W杯で10番をつけて活躍したリバウドだ。続けて、マウロ・シルヴァも「完璧な夢は、代表チームに入り、憧れの選手も着たジャージを着て、ワールドカップに出て、さらに優勝すること。それがこの世で最も特別なことなんだ」と語る。
さらに、1970年のメキシコW杯での優勝に貢献した元ブラジル代表のロベルト・リベリーノも「サッカーを始めたのはブラジル代表になり、ワールドカップに出て、優勝したかったからだ」と、その夢を叶えた瞬間を振り返る。いずれもW杯の優勝を経験している選手たちがそう語るように、いつの時代もブラジルにとってW杯で優勝することは特別なものなのだ。