11月20日(日本時間21日)に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。それにさきがけ、国際サッカー連盟(FIFA)のデジタルプラットフォーム「FIFA+」では、これまで大会をにぎわせた選手にスポットライトをあてた番組『アイズ・オブ・ザ・ワールド』を配信中だ(全10エピソード)。第3話では、イタリア代表FWロベルト・バッジョが1994年・アメリカ大会決勝ブラジル戦で「バーの上に蹴ったことは、これまでの人生でなかった」と語るPK失敗の真相に迫った。

1981年にセリエC1のヴィチェンツァでのデビュー以来、すでにバッジョは「イタリアの至宝」と呼ばれるエースストライカーだった。代表の同僚ジャンフランコ・ゾラ(FW=1991-97)は「移動速度を保ちつつ、技術も発揮できる点で特別な選手。万人に愛される選手の典型」と当時を振り返る。前年にはセリエAの名門ユヴェントスで大活躍、バロンドール(年間最優秀選手賞)を受賞していたこともあって、イタリア国民の期待はバッジョに注がれることになる。

ところが、グループリーグでは苦戦の連続。アイルランドに0-1。ノルウェーには1-0で勝利するも無得点で精彩を欠いたバッジョは途中交代させられてしまう。これには「理由はあったとしても僕には理解できなかったよ。信じられない」と肩を落とした。メキシコとは1-1、グループ3位でなんとか決勝トーナメントへ駒を進めたが、国内からは「サッキ(アリゴ・サッキ代表監督)の言うことを聞かないバッジョが去るべきだ」という声まで噴出してしまう。

しかし、苦汁をなめたイタリアの至宝はついにラウンド16で復活した。ナイジェリア戦では、1点を追う終了直前の89分に同点弾を決め、延長戦で逆転のPKを決める。続く準々決勝スペイン戦でも決勝点、準決勝ブルガリア戦でも2得点を挙げ勝利に大貢献したバッジョにイタリア国民は「イタリアは危機から脱出した」と歓喜した。

しかし、不安もあった。実は、大会直前に右足を痛めていたというバッジョ、ブルガリア戦で足を痛がるシーンが。「決勝でプレイできないかもとの考えがよぎった。小さい頃からワールドカップの決勝でブラジルと戦うことをずっと夢見てきたのに逃してたまるかと思った」(バッジョ)。ケガを押して出場した決勝ブラジル戦、不安は現実のものとなった。

「決勝にふさわしい技術的なレベルには、そぐわない状態だったと思う。ブラジルとイタリアというサッカー哲学がぶつかり合う場ではなおさらだ」と、ブラジル代表のエース・ロマーリオはバッジョの精彩を欠いた動きを証言。試合は延長でも決着つかずPK戦へ。ブラジルがリードの場面で最終キッカーのバッジョはバーのはるか上に打ち上げてしまう。優勝を逃した男は、ぼうぜんとその場に立ち尽くした。

「バーの上に蹴るなんて人生で一度もなかった。本当にひどい失望感だった。今でも思い出すよ、かつて夢見たあの瞬間を」(バッジョ)。イタリアサッカーの象徴は、アメリカ大会で栄光と挫折をいっぺんに味わった。

FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA
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