11月20日(日本時間21日)に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。それにさきがけ、国際サッカー連盟(FIFA)のデジタルプラットフォーム「FIFA+」では、これまで大会をにぎわせた選手にスポットライトをあてた番組『アイズ・オブ・ザ・ワールド』を配信中だ(全10エピソード)。第9話では、ウルグアイ代表FWスアレスが2010年・南アフリカ大会準々決勝ガーナ戦で起こした「ハンド事件」をガーナ代表選手の視点から経緯に迫った。

初めてアフリカ大陸で開催されたワールドカップでガーナは、前回ドイツ大会のベスト16以上を目指していた。メンバーにはPK職人にして、スピード豊かなFWアサモア・ギャンを擁し「代表はとても良いチームだった。タイミングがよかった。野望や期待、そして将来性があった」(現地ジャーナリスト)と万全の態勢。コートジボワール、開催国・南アフリカ、ナイジェリアのアフリカ勢がグループリーグで敗退していくなか、セルビアを1-0。オーストラリアと1-1、ドイツに0-1で乗り切ると、得失点差でグループDを2位通過して決勝トーナメントへ。ラウンド16アメリカ戦では、ギャンが延長に決勝ゴールを決め2-1で準々決勝へ。アフリカ全土が歓喜に沸いた瞬間で、はやくも「決勝でブラジル戦だ!」と報じるメディアも。

次の対戦相手は韓国を下して勝ち上がってきたウルグアイ。その準々決勝で事件は起きた。ウルグアイの前線にはスアレス、カバーニ、フォルランとワールドクラスのストライカーが並ぶなかでガーナも健闘した1-1の延長戦、ガーナは相手ゴールに何度も攻め入っていく。そして終了直前、セットプレーからのゴール枠内に飛んだシュートをスアレスがハンドで弾き返してしまったのだ。

一発レッドカードで退場したスアレス。しかし、頼みの綱ギャンのPKは無情にもクロスバーに弾かれてしまう。それをピッチ外で見ていたスアレスはガッツポーズ。「ギャンは僕たちの一番の武器だった。(外したときは)まさかと叫んだよ。辛かった。僕だけじゃなく、チーム全員と、アフリカ大陸のみんながね。何とも言えない気持ちだったよ。あのワールドカップを絶対に忘れない」と代表DFジョナサン・メンサーは振り返る。そのまま延長戦は終了し、PK戦でガーナは敗退した。

ワールドカップでの「なんとも後味の悪い事件」は、ディエゴ・マラドーナの「神の手ゴール」とともに後々の語り草となった。

FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA
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