カタール・ワールドカップの日本代表メンバーが11月1日に発表される。登録26人に名を連ねるのは、いったい誰になるのか。現役時代は日本代表として2002年の日韓W杯に出場し、現在は清水のアカデミーヘッドオブコーチを務める森岡隆三氏に、独自のベストメンバーを選出してもらった。
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ベルギーリーグの解説を担当した時に、シント=トロイデンで活躍していた鎌田大地、遠藤航、冨安健洋と、当時ヘンクだった伊東純也は毎週のように見ていたので勝手ながら思い入れがあります。ただ紛れもなく今の代表を引っ張る立場の選手たちです。
特に鎌田は欧州デビュー当初から、落ち着きや抜群の技術を持っていました。「すぐに代表に選ばれるのでは」と思っていたら本当にすぐでした。その後ドイツへステップアップし、今や主力に定着。ここにきてより一層存在感が増しています。今大会が彼にとって初のワールドカップですが、どんなプレーを見せてくれるのか、また今後どんなキャリアを歩むのか、すごく楽しみです。
冨安は私が京都ユースを指揮していた際に対戦したことがある選手です。彼のところからまったくボールを奪えず「何者だ!?」と思った翌年にはトップチームに昇格し、その後すぐに海外移籍して今に至ります。
彼のプレーは強さよりも巧さが目立ちますよね。ベルギーで様々なアタッカーと対峙して得た経験は大きいのでしょう。恵まれた体格の活かし方を分かっていますし、相手に合わせてその時々の最適な対応を選んでいる印象です。頭の良さが右SBもできるポリバレントさにつながっていますし、万能性も含めて代表を助ける存在になるはずです。
ただ、ワールドカップは鎌田や冨安のような今が旬の選手だけで勝てる大会ではありません。僕らが2002 年の日韓大会を戦った時は、ゴンさん(中山雅史)や秋田(豊)さん、森島(寛晃)さんらベテラン組が声掛けやプレーで与えてくれる勇気と安心感が非常に大きかった。
今大会でそんな役割も担いそうなのが吉田麻也、長友佑都、大迫勇也辺りかもしれません。特に前線の大迫は、ほかの選手にはないこだわりと熱さがある。「そこで決めるか‼」という“半端ない”ゴールで日本を引っ張ってきた背景はそこにあると思います。
若手はタレント豊富で、最近調子を上げているので期待したいところです。またGKの選考も難しいですが、ここはベテランと若手のバランスを考えて権田修一とシュミット・ダニエルという安定感のある存在に、3人目は今後の日本を背負って立つホープの選出もアリでしょう。東京五輪で活躍した、谷晃生を推します。
また、欠かせない選手がふたり。まずは右SBの酒井宏樹です。ここまで挙げた前線の選手たちの特徴として、サイズの見劣りは否めません。良い試合をしているのにセットプレーの一発でやられる形だけは避けたいので、空中戦の強さは後ろの選手で高めたいところ。豊富な経験と、チームに足りないものを補う意味で酒井を1番手に置きました。
もうひとりはジョーカーの三笘薫。相手からすれば、途中から出てきてあんなに面倒な選手はいません。プレミアリーグでも徐々に信頼を掴んでいますし、リバプール戦でアシストを記録した場面は強豪相手でも雰囲気を変えられる証明になりました。間違いなくチームの力になるはずです。
※本記事は2022年10月13日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。
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