カタール・ワールドカップの日本代表メンバーが11月1日に発表される。登録26人に名を連ねるのは、いったい誰になるのか。現役時代には、日本が初めてW杯に出場した98年フランス大会ではエースを務め、現在は解説者ほか、YouTubeチャンネルでも精力的に活動している城彰二氏に、独自のベストメンバーを選出してもらった。

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 システムから少し迷います。エクアドル戦の途中で試した3-5-2もあり得るが、基本はアメリカ戦の4-2-3-1と予想。序列の1番手も同試合で先発したメンバーが有力。違いがあるとすれば、本大会では守勢に回ることが予想されるので、左サイドバックは長友佑都か。守備に関しては今も信頼度が高いです。

 エクアドル戦で先発のテストをした三笘薫ですが、攻め込まれる時間に守備に能力を割くよりは、後半から投入して得点を期待するほうが効果は大きそう。

 GKの残り2枚はシュミット・ダニエルと谷晃生。ピッチ外のサポート面でも優れる川島永嗣ですが、権田修一、シュミットも30代なので、あえてベテランを連れていく必要性も薄いのでは。若い谷に本大会の空気感を伝えるほうがメリットがあると考えます。

 陣容内で一番の悩みはワントップの人選。前田大然の前線からのプレスは世界にも通用しそうですが、どこかで得点を奪う必要性もあるので、その際には少し心許ない。コンディションさえ整えばやはり大迫勇也となりそう。

 その他の候補は良さと物足りなさの両面があります。枚数的にはもうひとりいれば十分なので、怪我からの復帰という条件付きで浅野拓磨の可能性が高いのでは。

 最後の椅子に座るのは相馬勇紀。これまでの起用法を見る限り森保一監督にとって使い勝手が良さそうだからです。
 
 キーマンにはボランチふたりを選びましたが、それぞれが攻守両面の鍵。彼らがどれだけ列強国に通用するのかが、森保ジャパンの結果に大きく影響しそうです。

 注目は三笘。先発起用には応えられませんでしたが、あの独特なドリブルは世界でも通用するレベル。今の日本代表で数少ないワクワクする選手です。

 僕は現役時代にフォワードで、ワントップも経験しています。その目線から見れば、一緒にプレーしてみたいのは久保建英。なかなかボールを付けてくれる選手もいないなか、感覚が違う。パスのタイミングも群を抜いていて、今はその感覚が周囲と合わない。久保のパスを上手く受けられる選手がいれば、何か起こる可能性があります。

 自分が対峙するとして避けたいのは冨安健洋。1対1の強さや、間合いの取り方は良いものを持っています。他国の選手も嫌がるはずです。

 そんな選手たちの良さをいかに出せるかが注目。ただ、今のチームは一体感が足りない気がします。もちろん選手たちのポテンシャルは高く、昔の日本サッカーよりもレベルアップしています。

 しかし、チームとしてのベースがあまり見えない。今の選手たちは、以前練習を見た時も静かにやっていて、ほとんど言い合いをしない。僕らの感覚とは違うのでしょうが、その場で議論して意見を交換することでチームの連係が深まるはずです。

 ワールドカップは戦いの場。キレイに上手くではなく、死に物狂いでやる必要があります。気持ちで負けていればドイツやスペインから勝点を奪うことはできません。熱量を持ってチーム一丸となって戦ってほしいですね。

※本記事は2022年10月13日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。

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