FIFAワールドカップカタール2022の最終メンバーに選出された日本代表GKシュミット・ダニエル(シント・トロイデン/ベルギー)が、大会に向けての意気込みを示した。

 現在30歳のシュミットは、ベガルタ仙台時代の2018年11月にA代表初招集を受け、これまで通算12試合に出場している。現在はGK権田修一(清水エスパルス)やGK川島永嗣(ストラスブール/フランス)と代表正GKの座を争うなか、自身のキャリアで初めてW杯への切符を手に入れた。

 1日に記者会見を行ったシュミットは冒頭、「カタールW杯のメンバーに選ばれ、光栄に思っています。大会では少しでも代表の力になれるよう、精一杯頑張っていきたいと思います。これまで関わってきてくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。結果で恩返しできるよう、頑張っていきたいと思います」と、大会への意気込みを示した。

 続けて、「(森保一監督のメンバー読み上げは)一人ひとり間隔があったので、呼ばれるかどうか、森保さんの間(ま)が緊張して(笑)。無事呼ばれホッとして、やっとここから始まるなと思いました」と率直に喜びを吐露。また、「日本にいる家族からは『おめでとう』とすぐメッセージが来ました。娘たちはまだ起きていなかったので、起きたら妻が伝えてくれると思います。家族の支えがあって、この選出があると思うので、感謝したいです」と、家族への感謝も口にした。

 メンバー入りはあくまでもスタート地点。先発の座に向けて、「どの選手も準備できているだろうし、自分が試合に出るつもりで集まってくると思います。ほかのGKと比べるのではなく、それぞれがまず、個人として一番いいコンディションで集まることがチームのためになる。その上で誰を使うかを監督が決めるので、そこまで自分が試合に出ることを考えることはナンセンスというか、考えないようにしています」と、自身の最善を尽くすのみだとした。

 2019年夏からシント・トロイデンでプレーし、今では正GKに定着した。渡欧後の成長について、「一番は割り切る力がついた」と自己分析し、次のように言葉を続けた。

「ミスが起きた時に引きずっていたらGKは難しくなるので、スパッと切り替えたり、良くない試合があれば割り切って次に向かう。いろいろな外国籍の選手がいる中、チームメイトを見て学びました。GKのミスは重くのしかかることが多いので、そこと向き合うことは大切だと思います」

「こっちに来なかったら(W杯メンバーに)選ばれていなかったと思います。毎試合欧州、アフリカ、南米系の選手など、日本で味わえない雰囲気などの中で戦うことで成長できた部分があるからこそ、選出されたと思っています」

 中学から高校に進むタイミングでGKに転向し、W杯のメンバーにまで登り詰めた。「15、16歳からGKを始めて、いろいろ学べているし、まだまだ成長できると思います。あまり始める年齢は関係なかったと、ここまで来られたからそう思えると思いますけど、GKをやりたいと思う人を一人でも多く作るためにも頑張っています。高校1年生の人たちにも、今から始めても遅くないよと伝えられるように頑張りたいと思います」と語ったシュミットは、W杯へ抱いてきた思いについても振り返っている。

「(W杯について)漠然と思い始めたのは小さい頃、サッカーを始めて、形になってきた小学校5、6年くらいで。5年生の時に日韓もあったので。でも文集には夢はW杯を見に行くことって書いていました。当時の自分に、『お前、W杯行くんだよ』って言いたいですけど(笑)。本格的に意識するのは(A代表に)初選出されたとき。W杯後だったので、現実的に目指せるようになってから、本気で狙っていこうと感じました」

 カタールW杯は11月20日に開幕し、日本代表はドイツ代表(同23日)、コスタリカ代表(同27日)、スペイン代表(12月1日)とグループステージで対戦する。ドイツのGKマヌエル・ノイアーやコスタリカのGKケイラー・ナバスらとの対戦に、「ワクワク感はすごくある」とシュミット。「GKは1試合だけで判断できるポジションではないですけど、パフォーマンスで上回れたら世界へいいアピールになるし、チャンスだと思うので、コンディションをしっかり上げて、W杯に向かっていきたいと思います」と、改めて大会への意気込みを示している。