カタール・ワールドカップに臨む日本代表に選出された遠藤航が、自身がコンテンツを配信する「月刊・遠藤航」でその思いを語っている。

 選出は、朝起きて友人たちからの祝福のメッセージで知った遠藤。メンバー選考に「驚きはなかった」という。「4年前に比べて、自信を持って今日を迎えられたことに、少しは成長できたかな」と振り返った。

 2大会連続でメンバー入りを果たした遠藤だが、その立ち位置は4年前と比べ大きく変わっている。

 ロシア大会ではセンターバック、ボランチそしてサイドバックとポリバレントな役回りを期待されていた。しかし出場機会はなく、ベンチから日本代表の全4試合を眺めた。

 悔しさの中で強く感じたのは「今のままではワールドカップでプレーできない」という危機感だった。

「ポリバレントからボランチのスペシャリストへと進化しなければ、ワールドカップに出場し、活躍することはできないと思った」
 
 当時の心境をそう振り返る遠藤は、ロシア大会後にベルギーリーグのシント=トロイデンへ移籍、1年後には当時ドイツ2部のシュッツトガルトへとステップアップする。

 重視したのは「ボランチ」でのプレー機会であり、自身のボランチとしてのプレーを評価してくれるクラブだった。

 結果的に遠藤は、ブンデスリーガで2年連続デュエル勝利数1位に輝くなど、世界トップクラスのボランチへと成長。いまや、日本代表で不動のボランチへと進化を遂げた。

 この4年の成長をぶつけるカタールへの思いをこう語る。
 
「チームとしてはベスト8が一つの目標にはなると思います。そこを超えることができれば、その先、優勝を目ざしたりっていうところが見えてくるとは思いますけど、まずはグループリーグをしっかり突破することが大きいとは思っています。個人としては、まずスタメンで試合に出ることが自分の目ざしているところ」

 そんな遠藤は今回のメンバー選考をどう見たのか。

「個人的に驚いた、とかそういうことはないです。大迫(勇也)選手と原口(元気)選手が入らなかったというところ以外はある程度、予想していたメンバーなのかなという感じでした」
 
 とはいえ、原口の落選には衝撃があった。
 
「メンバー選考に関しては監督が決めることではありますから。誰を選んでも『あの選手が』『この選手が』と言われる世界だと思っているので、選ばれた側がそのメンバーで戦うという覚悟を持ってやっていくしかないのかな、と思っています。入っている選手は、入れなかった選手の分までやらなきゃいけない責任感もある。

 ……ただ、あくまで個人的なことを言わせてもらうと、そこは(原口元気の落選)ショックではありました。代表でもよく話をした選手でしたし、メンバー入りするだろうと思っていたので。
 
(感情的には)難しかったですね。(原口選手の)立場的にも難しかったと思いますけど、代表では常にチームのために戦っている人で、僕もすごく尊敬していたので。ウニオンでは出たり、出られなかったりはあったかもしれないけど、ブンデスの首位にいるチームにいる、ということ自体が(周囲から)もっと評価されるべきことだとは思っています。元気君の分まで、っていう思いはあります」

 4年間の成長と、尊敬するチームメイトへの思いを背に、カタールで初めてのワールドカップ出場を目ざす。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部