サッカー日本代表は20日、カタールワールドカップのグループステージ初戦・ドイツ代表戦に向けてドーハ市内で練習を行なった。

 熱のこもった練習をした後、取材に応じたMF柴崎岳は悟りを開いたかのような落ち着きで自身2度目のワールドカップに臨むにあたっての思いを語った。

「(4年前の)リベンジだとは思っておらず、新たな大会として捉えています。自分が試合に出ようと出なかろうと、この日本代表というチームの中でやるべきことは、自分の中で整理ができる。

そういった意味では自然な心持ちでいます。ロシアワールドカップのリベンジというのは、よく言われるエピソードというか、ストーリー的にはそうかもしれないですけど、どちらかというと、森保ジャパンがカタールの地で何を作っていけるのかという挑戦のような気持ちでいます」

 柴崎はロシアの地で日本代表のベスト16進出に貢献した。グループステージ初戦はコロンビア代表に勝利。そして、ラウンド16のベルギー戦でもピッチに立ち、ベスト8まであと一歩のところに迫った。

 大会後に発足した森保ジャパンでも長く主軸を担い、カタールワールドカップまでの4年間の過程を当事者として経験してきた。だからこそ見えるものもある。

「(森保ジャパンの)発足時からメンバーもだいぶ入れ替わっていて、若いメンバー、特に東京五輪世代は、オリンピックという大きな大会を経験して、そこからグッとA代表に食い込んできた。

そこは発足時と全く違う部分でもありますし、4年経てばプレーもだいぶ変わって、森保ジャパンは本当に大きく成長していると思います。ここまで積み上げてきたものを、重要なこの大会で出せるか。それが一番の評価軸かなと」

 成長を成果に結びつけるため、目標であるベスト8進出には何が必要なのか。柴崎が「一番大事」と述べたポイントは意外なものだった。

「大事なのは自分たちがよくない状況にある時に、自分たちがどういうメンタリティを持つか。気持ちと頭の部分でどう整理できるかは非常に大事だと思います。プレーしている選手はピッチの中にいて感じる部分もありますけど。彼らが理解できていない部分、知らず知らずのうちにそういった(困難な)状況に陥っている(こともある)。よくない方向に行っているというところを、どう修正できてできるかは、ベンチワークが一番大事かなと思っています」

 森保一監督をはじめ、多くの人々がドイツ代表やスペイン代表などと対戦するグループステージを勝ち抜くために「総力戦」というキーワードを使ってきた。指揮官が状況に応じて正しい判断を下し、26人の選手全員がそれぞれの置かれた立場で自分の役割を果たせるか。それが柴崎の言う「ベンチワーク」だ。

「いいときはいいので、1つの方向に向かってチームがまとまっているように見えますけど、例えば負けている状況では、『今はどうしたらいいか…』と、ちょっとバラバラになっているなと。そういった時に、監督も含めてベンチの方からどういった状況なのかを(ピッチ内に)伝える、コミュニケーションを取ること。そういうところが総力戦なのかなと思います」

 そのうえでどんな状況でも「ベンチワーク」を機能させるには、ドイツ代表戦までの残り2日間で、たくさんのことをチーム内で詰めなければならない。

「初戦で緊張感がありますし、勝っているのか、負けているのか、引き分けているのかという状況もあります。会場の雰囲気も本当に予測がつかない。できる限りのイメージで準備をして、状況を想像するしかないですね。そういった状況に対してどれだけいい判断ができるか、冷静に頭の中で考えられる選手がたくさんいるかが大事だと思います」

 リードされても慌てずに反撃していけるよう、できることをできるだけやって、何も不安のない状態で試合当日を迎えることができるだろうか。「今、自分が『こうだ』と思って信じているものに全力を注いで日々を過ごしている」という柴崎が、ピッチ内外で迷わずに進むべき道を見つけられれば、日本代表を導き、勝利へのルートが大きく拓けてくるはずだ。

(取材・文:舩木渉)

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