[カタール・ワールドカップ・グループステージ第2戦]日本 0-1 コスタリカ/11月27日/アフマド・ビン・アリ・スタジアム

 初戦でドイツに勝って、連勝がかかるコスタリカ戦。日本は残念ながら、0-1で負けてしまった。

 日本はドイツ戦からスタメンを5人代えてきた。これにはちょっとびっくりしたかな。ドイツ戦のスタメンで行くんじゃないかと思っていたから。でも、大幅なメンバーチェンジも、選んだ26人を森保監督がちゃんと信頼している証でもある。まさにチーム一丸となって戦おうとした。

 ただ、難しい試合になった。引き気味に構えるコスタリカに対し、日本は手を焼いていた。もしかしたらコスタリカからすれば、7失点と圧倒的な力の差を見せつけられた初戦のスペイン戦の後だから、日本のパスワークや強度、スピードなどは、そこまで脅威を感じなかったかもしれない。

 日本はボールを持てる時間が長かった。確実につなぎなら攻撃の糸口を探っていたんだろうけど、どこか“各駅停車”になってしまっていたようにも見えた。安パイに、横、横、横……。5-4-1で守るコスタリカは、日本のパス回しに対し、しっかりとスライドして対応。“穴”を作らなかった。

 だからこそ、日本は大きなサイドチェンジをもっと入れてもよかったと思う。手詰まりになるシーンがけっこうあったから、1本、長いのを逆サイドに出せば、そこで2対2、3対2の局面を作れるのに、というのは見ていて感じていた。
 
 ビルドアップの部分でも、もう少し変化をつけたかった。最終ラインで、たとえば吉田がボールを持った時、板倉がサイドにグッと張って、SBの山根を押し上げるようにする。そうすることで、相手の5-4-1の「4」を開かせて、中盤にスペースを作る。そこに遠藤や守田が入っていって、山根や、同サイドの堂安と良い距離感でパスをつなげば、局面を突破できる。

 そうした複数人が絡んだコンビネーションも今ひとつだったね。ただ、それはある意味、仕方がないことでもある。短い準備期間で連動性を高めるのは簡単ではないから。

 とにかく、歯がゆい内容だった。日本が持てる力を出し切れていなかったから。好位置でのFKも決め切れなかった。負傷明けの守田は懸命にプレーしていたけど、まだまだ本調子ではないように見えた。鎌田も相手の素早い寄せに苦労していた。

 いずれにしても、もう終わったこと。敗退が決まったわけではない。次のスペイン戦に集中して、良い準備をするだけ。ドイツと同じぐらい、もしくはそれ以上に強いかもしれない強敵に、臆せず戦ってほしい。森保ジャパンなら、やってくれると信じている。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを観戦&研究する日々を過ごす。カタールW杯は自腹で現地取材。

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