一時はサッカーをやめることも考えたという。苦労人だけに、感慨もひとしおだろう。
11月26日に行われたカタール・ワールドカップのグループD第2節で、オーストラリアはチュニジアに1-0と勝利した。初戦で王者フランスに1-4と大敗したオーストラリアだが、決勝トーナメント進出に望みをつないだ。
前半に決勝点となるゴールを決めたのが、J2のファジアーノ岡山に所属するミッチェル・デュークだ。日本の2部リーグでプレーする選手が、世界の檜舞台で脚光を浴びた。
イタリア紙『Gazzetta dello Sport』は、「電気屋から空港職員までこなした男が今、オーストラリアに夢を見させている」と、デュークが10年前に複数の仕事をかけもちしながらサッカーを続けた経歴を紹介している。
現在オーストラリア代表を率いるグレアム・アーノルド監督に才能を認めてもらっていたデュークだが、プロへの道のりは険しかったという。2013年にウェスト・ハムの練習に参加した際も、引き立てられることがなかった。
それらのエピソードを紹介しつつ、同紙はデュークが来日後も家族になかなか会えないなかで異国の言葉を学ぶなど苦労してきたと報道。腕に日本語のタトゥーを入れることを望むほどつながりを感じるようになり、子どもたちの名前や再生の代名詞フェニックスが描かれていると報じた。
「それがデュークだ。絶対に屈しないファイターなのである。妻や家族とあまりに離れ、サッカーのために結婚生活まで揺らいだ。だが、今は幸せに微笑んでいる」
今、デュークは幸せの頂点ともいえる気分だろう。だが、すでに気持ちを切り替えているだろう。戦いはまだ終わっていないからだ。30日のグループステージ最終節、オーストラリアはデンマークに勝てばベスト16進出が決まる。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
【動画】岡山のデュークが決めた決勝のヘッド弾