相性の悪い地ではなくなった

FIFAワールドカップ・カタール大会を戦う日本代表はグループステージ3試合を終え、2勝1敗で決勝トーナメント進出を決めた。スペイン、ドイツ、コスタリカと難しいグループとなったが、その中でW杯優勝経験国の2チームを撃破しての首位通過だ。これほど誇らしいことはない。

英『The Guardian』は「ドーハの奇跡2.0」と呼んでこの勝利を祝福している。

日本サッカーとカタール、ドーハは切っても切り離せない関係にある。

このW杯が始まるまで日本国民にとってドーハは“悲劇の地”だった。日本は1994年開催のW杯・アメリカ大会に向けてアジア予選を戦っており、最終節イラク戦に勝てれば初のW杯出場が決まるゲームだった。終盤まで2-1とリードしており、歓喜の瞬間はすぐそこだったが、追い付かれドローに。その結果韓国に得失点差で敗れ、グループ3位で予選を敗退することになった。この出来事はドーハの悲劇と呼ばれ、後世まで語り継がれている。

そんな悲劇から29年、日本は再びドーハの地にやってきた。しかも指揮官はドーハの悲劇を経験した森保一監督だ。

ドイツ、スペイン撃破はこの森保監督の采配ズバリだった。前半は体力を温存するために守備的に失点を最小限に抑え、後半三笘薫をはじめとするアタッカーを投入して一気にたたみかける。この作戦がグループステージで勝利した2戦で成功しており、日本はドーハを悲劇の地から奇跡の地に変えることができた。

この勝利は奇跡であり、10回戦って10回同じ結果になるとは思わないが、少ない勝ち筋を拾える現森保ジャパンはより称賛されるべきだ。現代表は海外を拠点にする選手が多く、能力は確実に上がっている。指揮官もそんな選手たちに応える采配を見せており、次のクロアチアに勝って念願の8強入りを果たせるのだろうか。