カタール・ワールドカップ(W杯)で2つの金星を挙げた日本代表。スペイン代表戦では決勝ゴールの判定が世界中で議論され、大きな話題となっている。
【動画】ドーハの歓喜1回目、長友佑都のクロスを李忠成が豪快ボレーで優勝決定
ただ、初戦のドイツ代表戦、そして1日のスペイン戦と2つのW杯優勝国を下したのは初のこと。さらに、2試合もアップセット(番狂わせ)を起こしたことはW杯の歴史を見ても珍しい出来事だった。
世界も注目する日本の快進撃だが、スタジアムにも大きな秘密があった。
日本がドイツ相手に逆転勝利を収めたのは、ハリファ国際スタジアム。GK権田修一がPKを与え、イルカイ・ギュンドアンにPKを決められてスタートした中、猛攻を受けながらも耐える展開に。すると、後半に左サイドから崩して堂安律が同点ゴール。さらに板倉滉のロングフィードを受けた浅野拓磨が持ち込んでニアサイドを撃ち抜いて逆転。2-1で勝利した。
そして1日、スペイン代表との決勝トーナメント進出をかけて戦ったグループ最終戦。その舞台もハリファ国際スタジアムだった。
3バックでスペインに臨んだ日本だったが、アルバロ・モラタにクロスからヘディングで決められてしまい失点。またしても強豪相手に先制を許したが、後半早々に堂安の強烈なミドルシュートで追いつくと、三笘薫の粘りの折り返しを田中碧が詰めて逆転。その後はスペインの猛攻を受けたが、しっかりと耐えきり、またしても2-1で勝利していたのだ。
W杯優勝国を相手にグループステージで2勝。史上初となる首位での通過に加え、初の2大会連続ベスト16入りというまさに偉業を成し遂げている日本。その2試合が同じ舞台で行われていたというのは運命を感じるところだ。
1993年に「ドーハの悲劇」と呼ばれるアメリカW杯予選の最後での出場権逸は、日本サッカーにとっては忘れられない出来事の1つ。悲しい思い出だったなか、今回は「ドーハの歓喜」とも言われ、およそ30年ぶりに良い思い出に塗り替えることができた。
厳密に言えば、このハリファ国際スタジアムはドーハではなく、カタール第2の都市・ライヤーンにあるため、「ライヤーンの歓喜」という方が正しいだろう。ただ、この歓喜はドイツ戦、スペイン戦だけではなかったのだ。
実はこのハリファ国際スタジアムでは、11年前にも歓喜を味わっている。
2011年のアジアカップ決勝。アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表は決勝に駒を進めると、対戦相手はオーストラリア代表。ここまでで何かを思い出した方もいるかもしれないが、延長戦で長友佑都からのクロスを李忠成が豪快にダイレクトボレーで叩き込み、優勝を果たした試合が行われたスタジアムなのだ。
日本にとっては3度も歓喜を味わった良い思い出の詰まったスタジアム。しかし、今大会で日本がこのスタジアムを使えるのは残り1回。それは3位決定戦しかない。スタジアムの恩恵はないが、再びこのスタジアムに戻ることがあるとすれば、それは“新しい景色”を見たということの証明にもなる。
【動画】ドーハの歓喜1回目、長友佑都のクロスを李忠成が豪快ボレーで優勝決定