■祖母の被爆体験を後世へ
咲和さん、美佐子さん
2024年6月、咲和さんが訪れたのはオーストラリア・メルボルンにある日本人学校。海外で暮らす日本人の子どもたちに、被爆者で祖母の美佐子さん(92)の被爆体験を伝えようと咲和さんが自ら学校にお願いし、実現した。
高校生平和大使だった頃、御守のように何度も聞いた祖母の被爆体験。美佐子さんの口調までもが、咲和さんに染みついていた。
「戦争の話はね、思い出したくないんです。思い出すと、悲しむ方が強くなるから。戦争なんかするもんじゃない、そんな時代をつくったらつまらんよね」(祖母の言葉を伝える咲和さん)
講話の最後、咲和さんは子どもたちに向けて、あるお願いをした。「平和には『大きな平和』と『小さな平和』があります。大きな平和は国際関係など世界規模の話。小さな平和は、大きな平和につながるとても大切なこと。例えば、朝学校に来て、先生に『おはようございます!』って元気に言うとか。風で倒されてしまった自転車を代わりに立ててあげるとか。でもそんな些細な行動でも、その一つ一つの積み重ねが大きなものにつながっていきます。小さくても大切なことを率先して行動できる人、それを地道に続けていける人になってほしいと思います」。
「僕も身近なところから平和について出来ることを考えました。それは他者と仲良くすることです。時にはけんかをすることもあるかもしれません。そのようなとき僕は素直な気持ちで素直なことを言いたいです」(聴講した子ども)
「自分たちでも世界のために出来ることがいくつかあるとおっしゃっていたので、そのようなことを意識して僕も今後生活していけるようにしたい」(聴講した子ども)
「生徒さんの真剣なまなざしが私にも力をくれたので、そのおかげでたくさん歴史の話や戦争の話など、チャレンジすることについて話せてよかった」
「世界の仕組みを決めるのは、一部の人がしているように見えて、私たち市民の動きが大きく関わっているのは間違いないことなので。核兵器はだめだ。被爆地は長崎を最後にという思いを世界に向けてアピールをし続けていくのは、小さくても出来ることかなと思います」(咲和さん)
平和を願う、100歳の被爆者
