クラブでの活躍が素晴らしかっただけに残念だ
9月に予定されていた日本代表の2試合が終わった。アメリカ戦は2-0の勝利、エクアドル戦は0-0の引き分けと無敗で9月の代表ウィークを消化している。
今回注目が集まったのはその招集メンバーだ。普段よりも多い30人を呼んでおり、その中にはE-1選手権で名を揚げた相馬勇紀、町野修斗、所属クラブで活躍している瀬古歩夢や旗手怜央がいた。フレッシュな選手たちであり、彼らが代表に何をもたらすのか注目されていた。
しかし蓋を開けて見れば起用されたのは相馬と町野の2人のみで、瀬古と旗手は出場時間ゼロでこのドイツ遠征を終えている。
瀬古に関してはポジションを争うライバルが厳しかった。冨安健洋、吉田麻也、伊藤洋輝、谷口彰悟と実力も監督からの信頼もある4人がいる。左サイドバックとして予想されていた伊藤はセンターバックとして使われており、瀬古としてはCBの5番手だった。
だが旗手は違う。中盤で評価が高いのは遠藤航と守田英正のみであり、他の田中碧、柴崎岳、原口元気はそうではない。エクアドル戦はその田中、柴崎のコンビだったが、旗手を試す選択肢はあったはずだ。
エクアドル戦では相手のプレッシングに押されボールが前進していない。中盤で時間を作れず、個で打開するしかなかった。そのため左サイドの三笘薫はドリブルで剥がそうとしていたが、エクアドル代表の選手は対人性能が高い選手が多く、いくら三笘でも厳しい。
旗手であれば中盤でこのハイプレッシャーの中で時間を作ることができる。それはCLレアル・マドリード戦で証明されており、オーレリアン・チュアメニやルカ・モドリッチらから寄せられても簡単にボールを手放さず状況を冷静に把握して次のプレイにつなげている。これができる選手はそういない。とくにビルドアップで厳しいとなればボールホルダーは相手を引き付けてスペースを生み出すことが大事であり、柴崎と田中はそれができていなかった。柴崎は引き付けることはできるが、その後の選択肢がバックパスしかなく有効な手とはいえない。
「旗手選手のプレイが見たい」「旗手を試してほしかった」と旗手に期待していたサポーターの声がSNS上では多く見られる。今季セルティックでは420分間ピッチに立っているが、日本代表でのポジション争いには苦戦してしまっている。