日本代表は9月27日、ドイツのデュッセルドルフで行われたキリンチャレンジカップ2022でエクアドル代表と対戦。0-0で引き分けた。
適材がなかなか見つからないと言われる左SBだが、この日先発で存在感を示したのは、既に三度のワールドカップを経験している36歳の男だった。2021年に海外からFC東京に戻り、プレーを続ける長友佑都だ。
彼が日の丸を背負って国際Aマッチに出場し続けることには、当初賛否が飛び交っていた印象を受ける。日本代表の布陣を見渡せば、長友とポジションこそ違えども、GK谷晃生(湘南ベルマーレ)やMF久保建英(レアル・ソシエダ)を始め、一回り以上離れた世代も多数顔を覗かせている。本田圭佑や酒井高徳といった、同じ30代のプレーヤーが代表引退も決めるとあらば、長友の去就を気にかける人もいて不思議ではないのだ。
ただ自身の生き様をかつて「雑草魂」とも表現した男は、ただまっすぐピッチを見つめ、この日もデュッセルドルフのピッチに足を踏み入れた。するとどうだろう、前半から鋭い攻撃を仕掛ける相手に、的確なタイミングで身体を寄せにいったり、ここぞというところで足を出しボールをカットしたりした。後半になり、途中交代で入った前線が機能し始めると、守備を安定させ勢いを後押し、相手のストライカーFWエネル バレンシアにも果敢にアプローチを仕掛けた。後半38分にはDF吉田麻也(シャルケ)との交代でピッチを後にするが、無失点という成果の一端は、間違いなく長友が担っていると言っていいだろう。
試合後、長友は「非常にいいチームでした。南米予選を勝ち抜いているだけのレベルと強度があると感じた」とエクアドルの印象を述べ、「(修正をかけた)後半は明らかによくなった。そこから徐々に相手が下がってきたのもあるが、ポジショニングで勝てるところが多々でてきた」という手応えも口にした。
彼のプレースタイルに頭を巡らせると、泥臭く、粘り強くボールにアプローチし、どんなに疲労の溜まる時間であろうとスプリントを重ね、味方のサポートに奔走するイメージが強い。下馬評は気にしていないのだろうか?と思う人もいるかもしれないが、長友はその件についてもきちんと触れていた。「(周囲から自分は)衰えた、(代表には)いらないと散々、言われてきて僕はまあ自分を信じていたが、確信があるのは、強い相手になるほど、価値を示せると自分は信じていた」と話し、「自信はあって」と再度強調したのだ。
「そろそろ(自分のことを)信じてもらっていいかな」と笑って話した長友の脳裏には、周囲の懲りない野次が未だ残っていることだろう。ただ、押されても潰されても上へ伸びることをやめない雑草のように、長友はワールドカップのメンバー選考というフィールドに、確かな根を張り続けている。それどころか、今回のエクアドル戦を「こういう試合を、またやりたいなとうずうずしている」と振り返るように、熱い試合をエネルギーに変え、自分の存在をさらに強くしているようにも感じさせるのだ。2022年FIFAワールドカップまであと50余日。日本代表メンバーの一覧に「長友佑都」の名を期待せずにはいられない。