監督解任でどう変わる

監督の哲学に合う選手を代表招集するのか、それとも国のスター選手を優先的に招集するのか。代表チームの選抜には2通りの考え方がある。

これに揺れたのがモロッコ代表だ。チームは2019年より過去に日本代表も指揮したヴァイッド・ハリルホジッチが率いてきたが、モロッコサッカー連盟は今年8月にハリルホジッチの解任を決断。焦点の1つとなったのは、同国最高のスターとも言えるMFハキム・ツィエクの処遇だ。

チェルシーに所属するツィエクは高いテクニックを誇る名手だが、ハリルホジッチとは折り合いが悪かった。確固たる哲学を持ち、チームファーストなハリルホジッチはツィエクを代表から除外。昨年6月までは招集されていたが、それ以降は外れている。

この判断には国内のサッカーファンからも疑問の声が挙がり、結局モロッコ側はハリルホジッチを解任。後任にはモロッコ人監督ワリド・レグラギが就いており、当然ながらレグラギは10日に発表したワールドカップメンバーにツィエクを招集している。

ただ、ツィエクは所属するチェルシーでも今季は2試合にしか先発していない。明らかに出場機会が不足しており、試合勘の問題は気に掛かる。関係性もそうだが、ハリルホジッチならばクラブでの状況も考えて招集しなかったかもしれない。

モロッコはアクラフ・ハキミ、ツィエク、ノゼア・マズラウィといったビッグクラブでプレイする同国のスター選手を優先的に起用したいのだろうが、この判断は吉と出るのか。レグラギ政権がスタートして間もないこともあり、スター選手を並べてのぶっつけ本番となる可能性が高い。

あとはツィエクの実力に賭けるしかないが、出場決定からドタバタしたモロッコはどうチームを仕上げてくるのだろうか。