現地11月17日、日本代表は国際親善試合でカナダ代表と対戦。相馬勇紀のゴールで先制するも、その後に2点を奪われ、1-2の逆転負けを喫した。

 カタール・ワールドカップ前最後のテストマッチ。オーストラリア・アデレード出身で、現在サッカーダイジェスト海外編集部員のスティーブン・トムソン記者が、カナダ戦に出場した森保ジャパン全17選手を採点した。

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【個人採点・寸評】
GK
12 権田修一 5
素早い反応を見せた一方、終了間際のPKをセーブできなかったのは残念だった。判断力とセットプレーの対応も、やや疑問。とりわけセットプレーの場面では、チームは緊張を強いられていたように見えた。ドイツ戦ではフィジカルに優れるシュミットのほうが、より信頼をもたらせるか。

DF
26 伊藤洋輝 5.5
ネガティブな瞬間とポジティブな瞬間があった。同サイドで対峙したブキャナンには手を焼いた印象。CKから奪われた1失点目ではマークが甘かったか。もっとも、試合を通じて複数のポジションでプレーし、久保へのサポートには全力を尽くした。

DF
3 谷口彰悟 5.5
ほとんどの時間帯で堅実な守備を見せていたし、タイミングの良いタックルとブロックで、ピンチの芽を摘んだ。ただ、他の守備陣と同様に、セットプレーの守備時は、フィジカル的に相手を圧倒できなかった。
 
DF
4 板倉 滉 5.5(67分OUT)
負傷明けを感じさせなかったのは、大きなポイントだ。ただ、パスのクオリティはいつもより少し落ちていたように見えた。1失点目は相手のCKをヘディングでクリアし損ねたのは痛恨だったが、試合が進むにつれて、より自信を持ったディフェンスを披露。中盤へのつなぎ役としても機能した。

DF
19 酒井宏樹 6
高い位置取りを心掛け、攻撃を前がかりにしようとタフにプレー。タックルの強度も高かった。ボールを収めた時の自信にあふれた振る舞いは、さすがだった。

MF
7 柴崎 岳 6.5
クリエイティブなパスを何本も出して、それが奏功しなくても何度もトライ。相馬の先制弾をアシストした浮き球のパスは美しかった。得点には至らなかったが、山根にも決定的なスルーパスを通してみせた。常に的確なポジションを取り、ボランチでコンビを組んだ田中とのパス交換も問題なし。日本の勝利、もしくは引き分けなら、間違いなくMOMだ。
 
MF
17 田中 碧 5.5(66分OUT)
前半は、ピッチのあらゆる場所に顔を出し、アンテナを張り、ボールを追いかけ、タックルし、味方に多くのパスの選択肢を与えた。だが、時間の経過とともに、疲労が見え隠れした。ボールを奪うことに熱中しすぎるあまり、状況を悪くしているようにも見えた。

MF
10 南野拓実 5(85分OUT)
懸命にプレスをかけていたし、ポジショニングもグッドだった。それでも、厳しく言えば、何一つ上手くいかなかった。良いパスを出していたにもかかわらず、どこか考えすぎてプレーしているのではないか。チームメイトとポジティブな化学反応を起こせなかった。

MF
11 久保 建英 5.5 (HT OUT)
持ち前の創造性を示し、ドリブルも悪くなかった。試合の流れを変えられる可能性は感じられた。惜しいシュートも1本あったが、味方に明確なチャンスをもたらす場面は限られていた。ファウルで相手にFKを与えたのも、印象としてはあまり良くなかった。

MF
24 相馬勇紀 6
この日の日本の攻撃陣で、最も危険な選手だった。その走りとクリエイティビティは、カナダの守備陣を大いに困らせた。柴崎の好パスから巧みなボレーでチームを勢いづかせる先制点をゲット。あとはクロス精度をもう一段階、上げたいところだ。

FW
18 浅野拓磨 5 (HT OUT) 
懸命に走ってプレッシャーをかけたが、その“見返り”はほとんどなかった。いつもの自信たっぷりな雰囲気に欠けていて、ポゼッションでも機能しきれていなかった。中盤の選手に選択肢を与えるキープも今ひとつだった。
 
交代出場
MF
8 堂安 律 5(HT IN)
貪欲さを示し、意図を持ってプレー。だが、判断に迷いが見られ、ボールを奪われるシーンも。アピールできたとは言えず、ドイツ戦のスタメン奪取に暗雲が立ち込める。

FW
21 上田綺世 5(HT IN)
浅野よりも屈強さを示し、ポジショニングも良かった。ゴールへの貪欲さも見せてはいたものの、可能性を感じさせるシーンはほとんどなかった。

DF
2 山根視来 5(HT IN)
彼にとっては不運なゲームだった。柴崎のパスに反応して放ったシュートはポストに弾かれる。その後、自陣エリア内で相手を倒してしまい、逆転弾につながるPKを献上。勝敗の鍵を握るプレーは、歓迎しない方向に転がってしまった。
 
MF
15 鎌田大地 5.5 (66分IN)
ボランチとして文句なしのパフォーマンス。自信に満ちてボールを前に運んだ。だからこそ、目に見える結果が欲しかった。彼のこの特性はより攻撃的なポジションで発揮されるべきだろう。遠藤と守田がいることで、トップ下に入り、攻撃に集中させたい。

DF
5 長友佑都 5(67分IN)
攻撃的な位置取りを意識し、アグレッシブにプレー。ただ、その姿勢がゲームの流れにどれだけ影響をもたらしたかを考えると、その豊富なキャリアと実力を考えれば不満が残る。
 
DF
22 吉田麻也 -(85分IN)
限られたプレータイムのなか、やるべきことをやった。相手のCKではしっかりとクリア。日本の守備がようやく安定感を取り戻した瞬間だ。

採点・文●スティーブン・トムソン

[プロフィール]
スティーブン・トムソン/1993年生まれ、オーストラリア・アデレード出身。アデレード大学を卒業後に来日し、上智大学で日本語を学ぶ。日本のスポーツと文化に精通し、今春からサッカーダイジェスト海外編集部員に。好きなサッカークラブはアデレード・ユナイテッド、リバプール、そしてガンバ大阪。

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