FIFAワールドカップカタール2022・グループE第3節(最終節)が12月1日に行われ、日本代表がスペイン代表を2-1で下した。試合後、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)が戦い方を振り返った。
この日の日本代表は、初陣のドイツ代表戦、そしてコスタリカ代表戦では後半からスイッチしていた3バックのシステムを試合開始から採用した。「試合の2日前の最初の練習の時は、フォーメーションが少し違ったんですけど。選手間でもうまくいっている感じがなかった」と話した鎌田は、「フランクフルトでの“成功体験”もあったんで」と、チーム全体での守備について提言したことを明かす。鎌田の語る“成功体験”とは、昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)・準々決勝でフランクフルトがバルセロナを2戦合計4-3で下した試合のことで、特に第2戦(3-2)で勝利した時の戦い方に近いイメージだ。当時、フランクフルトは強固な守備ブロックを敷いただけでなく鋭いカウンターを繰り出し、70分までに3-0として試合を決定付けていた。
このイメージを日本代表で擦り合わせていくには時間が必要とも考えてしまうが、鎌田は「そんなに難しいことじゃないんで」と冷静に語った。「守備に関してはハマるという感覚はありましたけど、やっぱり日本代表とフランクフルトでは選手も違う。フランクフルトにはより推進力ある選手が多いですが、日本代表はテクニックのある選手が多い」と話した鎌田は、「やっぱり、スペインのようなチームにああいうやり方をすると、テクニックより前の推進力の方が大事になる」と、不足点にも言及。「僕もタケ(久保建英)も常に守備に追われて、犠牲になるようなシーンは多かったと思います」と自らの役割に触れつつも、「でも、彼らからしたら、あれだけ引かれるとやりづらかったと思う。1失点はしましたけど、自分たちは良い守備ができたんじゃないかなと思います」と自信を示した。
鎌田の言葉通り、この日の日本代表は序盤から深追いすることはなく、自陣でブロックを敷いて耐え抜く時間となった。「前の選手にとっては我慢だったり、難しいですけど」と本音を明かしつつ、「これがチームのやり方だし、自分たちは毎試合後半にスイッチを入れ直してできているんで」と断言。「チームのみんなが、自分のやらないと駄目なことをしっかりと実行して、結果に繋がっている。それが今上手くいってる要因ですかね」と分析している。
12分にはアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)に失点を許したが、それでも“プラン”は崩さなかった。「自分たちは割り切ってプレーしているし、それが今は結果にも繋がっている」と話しつつも、スコアレスのまま時間を進めたかったことは事実だ。鎌田自身もその部分は認めており、「後半、ああやって早めに点が取れたのが大きい。律がスーパーだったし、自分たちにとっては本当に素晴らしい1点でした」と、48分に強烈な左足シュートでゴールネットを揺らした堂安律(フライブルク/ドイツ)を称えた。
後半開始直後に前への圧力を強めた日本代表は、堂安の同点ゴール直後に田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)が逆転ゴールを沈め、逆転に成功。このまま1点のリードを守り抜いて、見事に勝利を掴み取った。日本代表は2勝1敗という成績でグループEを首位通過することが決まり、5日には決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)でクロアチア代表と対戦する。ここまで3試合連続のスタメン出場と、森保一監督から熱い信頼を寄せられている鎌田は、自身のパフォーマンスに反省点を述べながら、ワールドカップにおいては“チーム最優先”の戦い方が重要であることを主張している。
「もちろん、3試合とも使ってもらっているのはすごく嬉しいこと。実際、ワールドカップの直前まで自分はそういう立場の選手じゃなかったんで、すごい嬉しくは思います。個人的には3試合とも難しい試合が続いていましたけど、チームは結果的に勝っているし、難しい試合をものにして決勝トーナメントにも上がっている。今は自分のためっていうよりも日本のために日本代表の戦い方をやらないとダメだと思うし、それは最低限できているので続けていきたいと思います」