2018年夏に船出してから約4年、目指し続けてきた悲願のワールドカップ・ベスト8進出を懸け、森保ジャパンは大一番となるラウンド16のクロアチア戦へ現地時間12月5日の18時(日本時間5日の24時)に臨む。

 12月4日に行なわれた前日練習には久保建英を除く25人のメンバーが参加。体調不良と説明されている久保は2日連続での欠席となり、クロアチア戦出場は厳しい状況となった。また累積警告により板倉滉の出場停止も決まっている。

 一方で、グループリーグ第2戦のコスタリカ戦、第3戦のスペイン戦を欠場した酒井宏樹が全体トレーニングに戻っているのは明るい材料で、右膝痛を抱えていた遠藤航がスペイン戦で実戦復帰し、怪我がちだった冨安健洋が元気な姿を見せているのもポジティブな要素である

 4-3-3が基本システムのクロアチアに対し、日本のシステムは4-2-3-1、3-4-2-1など複数の候補がある。現状では読みにくいが、先のスペイン戦では3-4-2-1で、相手の4-3-3に対応しただけに、その経験を活用する可能性はあるだろう。

 もっともスペイン戦でワールドカップデビューを飾った谷口彰悟は、スペインとクロアチアの違いを説明する。

「スペインはブスケッツが常にそこ(中盤の底に)にいましたが、クロアチアはブロゾビッチやモドリッチらが流動的に動いて、例えば低い位置に落ちてボールを受けにいくこともあれば、(アンカーの)ブロゾビッチはボックス内に入ってもくる。様々な動きをします。ただその辺りはスカウティングをできていますし、実際に見て自分たちがどう捕まえにいくのか、誰がどう付くのかを合わせています。システムは同じような形ですが、間違いなくスペインとクロアチアはやっていることが異なります」

 その意味で最も警戒すべきは、選手たちも口を揃えるアンカーのマルセロ・ブロゾビッチ(インテル)、インサイドハーフのルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)、マテオ・コバチッチ(チェルシー)の中盤トリオだ。彼らをどうケアするかが大きなポイントになる。
 


 3-4-2-1でスタメンを考えた場合、GKは引き続き権田修一だろう。板倉を欠く最終ラインは、中央にキャプテンの吉田麻也を置きつつ、左はスペイン戦で奮闘した谷口を継続させ、右に冨安を配置するか。谷口と冨安は立ち位置を逆にする確率もある。

 ボランチは遠藤が先発復帰できるとすれば、相棒は守田英正か。スペイン戦で決勝弾を挙げた田中碧もいるが、田中は流れを変えるカードとして重宝するかもしれない。

 守田は相手への対応をこう語った。

「ビルドアップに結構枚数をかけてくると思っているので、僕や航くんがスペースを重視して守りすぎると、スペイン戦の前半のように人にいけない現象が起こるので、そこのバランス。どこまで引いてコンパクトにして、どこのタイミングで人を掴みにいくのか。

(相手アンカーへの対応は)僕が前に出ていくほうが良いと思っていて、航くんをあんまり出したくない。基本的に左だったら僕のほうが近いので僕が出ていくんですが、右だったら斜めのコースを航くんに切ってもらって、自分が結構遠いですが、捕まえに行く感じかなと。FWの選手がアンカーにつきすぎるのも良くない。僕がちゃんと捕まえて、押し出す形を作りたい」


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 ウイングバックは左は経験値を鑑みて長友佑都。後半のどこかのタイミングで切り札の三笘薫とバトンタッチする形が、この試合でも見られるだろう。

 右は「試合に出られるところまで回復した」と話す酒井を無理をさせられる状態ではないはずで、スペイン戦同様に伊東純也の先発を予想。

 難しいの久保の欠場が濃厚なシャドー。3試合連続で先発している鎌田を考えつつ、勢いを買えば堂安律、献身的な守備を優先すれば南野拓実という選択肢がある。もしくは右ウイングバックに酒井を入れた場合、伊東をシャドーで起用するか。

 CFは前からのプレッシング役として前田大然がファーストチョイスに映る。
 


 長友は前日会見で「僕は2008年から日本代表でプレーさせてもらってますが、今のチームはその中では間違いなく歴代最強だと、自信を持って誇りを持って言えます。クロアチアを破って新しい景色を見たい。そしてまた、大きな声でブラボーと叫びたいと思います」と力強く言い切った。

 キャプテンの吉田は「ベスト16を破るために、色んなものを犠牲にして毎日やってきた。僕だけじゃなく、すべての選手が色んな想いを持ってここに来ていると思いますが、日本のサッカーがもうひとつ上に行くためにはコンスタントに予選突破するチームにならなくちゃいけない。今回、初めて2大会連続でベスト16にいった。でも、ここで満足せずにやっぱり、新しい1ページを刻みたい」と意気込む。

 日本初のベスト8進出へ最大のチャンスが訪れたと言えるのだろう。ドイツ、スペインを下したように、粘り強い守備から、勝負どころで一気呵成に攻める“勝利の方程式”を示し、新たな歴史を刻みたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)