判定検証番組「W杯ジャッジリプレイ」でチュニジア対フランスを取り上げる
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ワールドカップ(W杯)ジャッジリプレイ」で、チュニジア代表とフランス代表が対戦した試合が取り上げられた。
この場面では、後半終了間際にフランスがMFオーレリアン・チュアメニのクロスから、チュニジアのDFモンタッサル・タルビが必死にジャンプしてヘディングで触ったボールのこぼれ球を、フランスのFWアントワーヌ・グリーズマンが蹴り込んだ。主審はゴールを認めて試合終了の笛を吹いたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入でオンフィールドレビューが行われ、チュアメニがプレーした瞬間にグリーズマンがオフサイドポジションにいたとしてゴールが取り消されていた。この場面ではオフサイドの判定が妥当なのかどうかと、オフサイドへ判定を変更した後にわずかな時間でもプレーを再開したことが論点になった。
オフサイド判定について、タルビのプレーが意図的であるかどうかという点についてゲスト出演した現役時代に川崎フロンターレなどでプレーした鄭大世氏は「僕はJリーグでの研修で、あれはオフサイドではない、明らかに意図してボールの方向を変えていると習った。これがオフサイドとなるのは結構な衝撃」と話し、元日本代表FW佐藤寿人氏は「下がりながらヘディングをしている。動いている、走っている分だけ明確な意図があるので、オフサイドではないと思う」と話した。
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「個人的にはオフサイドではないと思うが、今年の9月くらいにIFAB(サッカーのルールを統括する国際機関)がシレッと解釈を変えている」として、いくつかの考慮ポイントのなかで「競技者が体の動きを整える時間があったのかどうか。結果的にDFが自分の体勢を整えながらプレーできたのかどうかが結構ダウト。9月以前なら意図的なプレーと判断されて得点が認められていたが、これは意図的ではなくディフレクションに入ると発信されている。日本サッカー協会が説明しているものにも近いシーンがあった」と、審判目線での理解を話した。
鄭大世氏は「ボールが何ミリ出たかというようなハッキリした数字が出せるものもあるが、テクノロジーの進化によって止めて見ることで、人間のあいまいさが出てしまった。テクノロジーの進化の足を引っ張る人間の矛盾が逆に難しくしていると思う」とコメント。
家本氏は「これをディフレクションと言わずに意図があると言っても認められるという考えもあるが、方向感や僕の知っている情報からすると、跳ね返ったボールでオフサイドポジションにいた選手が最終的に利益を得ていることから、オフサイドという判断になったのではないか」と話した。
また、プレー再開について家本氏は「もしキックオフで再開していたら戻れないが、主審としてはゴールを認めてキックオフ前に試合を終了している。そこにVARが介入してゴールを取り消す判断をした。それなら、オフサイドにして再開せず試合を終了するのが手順かなとは思うが、実際には1プレーか2プレーほどその後に行われたけれども、競技規則上は手順が守られている」と話した。(FOOTBALL ZONE編集部)