日本サッカー協会(JFA)は1日、キリングループとの「日本サッカー協会オフィシャルパートナー」契約に基本合意したことを発表した。

 JFAとキリングループの関係は、1978年に開催された「ジャパンカップ」の協賛からスタート。日本でサッカーがプロスポーツ化する以前、ワールドカップやオリンピックの出場も果たせなかった時代から支え、両者の関係は40年以上も続くものとなっている。新契約では、これまで「日本代表オフィシャルパートナー」契約だったものから、「日本サッカー協会オフィシャルパートナー」契約となる。2023年1月1日から2030年12月31日までとなり、2028年には50年の節目を迎えることとなる。

 会見に出席した田嶋幸三JFA会長は、「半世紀にわたってきた固い絆と信頼をゆるぎないものとします。(これまでの契約から)範囲をさらに広げ、国内大会、育成、施設、グラスルーツ、人事交流など包括的なものとしました。お互いに新しい価値を見出しながら、両者の発展、少子高齢化や温暖化などの社会問題にも協力して臨みたいと考えています。SDGsやウェルビーイングな環境の実現に貢献していきます」と意欲を語る。

 同席したキリンホールディングス株式会社の磯崎功典代表取締役社長も「良い時も悪い時もあります。一喜一憂しながら、応援し続けていきます。スポーツには世の中を元気にする力があると信じています。11月からはカタールW杯が開催されます。SAMURAI BLUEには目標としているベスト8以上を“ドーハの歓喜”として日本中のファンに喜びと感動を届けてくれることを期待しています」とエールを送った。

 これまで日本代表はキリンカップ、キリンチャレンジカップといった冠大会を国内の強化試合として行ってきた。一方で、ヨーロッパや北中米は大陸内での公式戦を開始させるなど、代表チームの強化・マッチメイクが年々難しくなっている。田嶋会長は、「拮抗した相手と対戦したいことは事実です」「海外で試合を行う意義は確かにあります。ヨーロッパでプレーする選手も多いですし、そこに冠をつけることは今後議論していく必要がある」と、2018年に開催したことのある海外でのキリンチャレンジカップ開催の可能性に触れる一方、「日本で行う価値もあります。多くの日本の方、子どもたちに見てもらう。そこから次世代の普及にも広がります。海外でやることももちろん考えていますが、国内での両立も考えていかないといけない」と、今後の親善試合開催の意向を述べた。

 今回の契約により、日本代表からJFAのオフィシャルパートナーとなったキリングループ。近年はコロナ禍もあり、なかなか試合が組めない時期もあったが、契約に至った点については、「社内でも議論しますが、毎年キリンという会社のブランド価値がどこにあるか、消費者調査をしています。我々はBtoC企業なので、ブランド価値が非常に重要。無形資産としてこれだけ重要なものはありません。やはりキリンと言えばサッカー、サッカーと言えばキリンとなっています。悪い時があればやめるのかと言えばそうではありません。もちろん選手には頑張っていただきたいですが、ともに歩むということです。パートナーを進化させるべきだと思い、これまでとこれからの8年では形式が違う、そういう歩みがあってもいいのではないかと思いました」と、磯崎社長は言及している。

 来年からは各日本代表だけでなく、育成や指導者養成、審判養成、グラスルーツなどのJFA事業全般も本格的にサポートしていくことになる。田嶋会長は「私たちが出した『2005年宣言』と、キリンさんが掲げるウェルビーイングについての考えと共通するところがあります。キリンさんはこの分野で世界的にも進んでいます」と、健康促進などの点でも幅広い取り組みをしていく見通しを語っている。