日本代表はカタール・ワールドカップ開幕前、最後となる対外試合を終えた。あとは23日のドイツ代表戦を待つばかりだ。準備試合のカナダ代表戦で何が見え、大会初戦までにあとは何をするべきか、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が語り尽くした。

■初戦までにすべきこと

――とにかく、ドイツ戦までの準備試合は終わりました。

大住「あとはその初戦に、疲れている選手たちがちゃんと回復できて間に合うか、だよね。どこの国もそういう状態だと思うけど、特に日本にとっては死活問題だよね」

後藤「しっかり回復させてください、と期待するしかないね。もしも、ちゃんと回復したなら、軽めの練習試合をやるべきじゃないかなと思う」

大住「本来なら、カナダ戦をそういう試合にしたかったんだけどね。今回のような試合になるなら、45分を3、4本やるトレーニングマッチの方が良かったかもしれない」

後藤「南アフリカ・ワールドカップで、大会直前にジンバブエと練習試合をやったようにね」

■森保監督の変化

――調整の試合なら、負けても問題ありませんし。

大住「負けたら終わりというわけじゃないから、確かにいいんだよ。だけど、負けるということはチームにとってすごくマイナスの影響があるもので、それを乗り越えるのにはちょっと力を要するんだよね。ポストを叩いた山根視来のシュートが決まって2-1で勝っていたら、よっしゃという気になって、トレーニングの強度が上がったり、練習中も楽しそうな顔が増えたりと、すごくポジティブな影響を及ぼしたと思う。だから、こういう試合にもちゃんと勝てるようにしたいかな」

後藤「僕はこの1か月くらい、森保一監督の顔がすごく柔和になってきていると感じるんだよね。以前とは、ちょっと様子が変わったなと思った。もう腹はくくった、やることはやったという気持ちなのかなと思ったけど」

大住「僕もそう思うな。これまでも繰り返して話す内容があったけど、言葉は同じでも、もっと口調が強かった」

後藤「前はピリピリした感じがあったけど、今は感じないね。ルヴァンカップの決勝の後、エレベーターで一緒になって少し立ち話をしたけど、柔らかい感じだった」

大住「森保監督の性格からして、ものすごく緻密な計算を立ててチームを完成に向かわせてきて、やらないといけないことをひとつずつ潰すことができてきたんだろうね」

後藤「それなのに、せっかくの計算がケガ人続出でダメになるかもしれない」

■不安視される時ほど…

大住「プレッシャーに負けるタイプじゃないと思うよ。守備に関しても、同じ話を言い続けている。前から取れる守備をして、取れない時にどこにブロックをつくるか。前から狙う時もタイミングと選手同士の理解を合わせる…と、ずっと同じこと言っているし、だからこそ浸透してきているとは思う。あとは冨安健洋か吉田麻也がピッチにいれば…。特に吉田がいれば、随分違うんじゃないかなと思う。いくらチーム全体のレベルが上がって良い選手が増えたといっても、替えが効かない選手というのはいるよね。

 あとは、やっぱりセットプレー。ドイツ戦で、“こんなのを用意していたのか!”というCKやFKを繰り出して先制点を取れたら、すごく大きいよ。相手がリスクを冒して点を取りに来たら、それを逆手に取って得点できる選手はいくらでもいるんだから」

後藤「ドイツの試合を見ても、守備は強くないからね」

大住「穴ができるよね。攻撃的なチームなだけに、サイドバックの裏を速く攻めることができたらチャンスになるよ」

――日本代表は大会直前に不安視される時の方が、良い結果を出す傾向もあります。

大住「そのためのカナダ戦だったのかな、と思わせてほしいよね」