グループステージ初戦のドイツ戦が近づくにつれて、「初戦の重要性」がクローズアップされている。ドーハで最終調整を続けている日本代表選手も、メディア対応では必ずと言っていいほど「初戦について」の質問を受けている。

 11月20日に取材に応じた鎌田大地は、「初戦はホントに、どのチームとってもすごく大事になると思う」と話した。

 さらに、「間違いなく勝点1以上は取らないと」と続け、「取れなければ次の試合にすごいプレッシャーがかかってくるので、すごい大事だと思います」と結んだ。

 今回が3度目のW杯となる酒井宏樹も、初戦の重要性は強く感じている。

「W杯に限らず、グループステージの初戦は大事だと思います。残りの2試合をどういうふうに戦うか、というプランにも影響が出ます」とし、「勝点を取れなかったときのイメージも想定しておかないといけない」とも言う。

 初戦を落としたら厳しくなる。それは間違いない。だからといって、諦めるわけにはいかない。経験豊富な右サイドバックは、黒星スタートからでも突破口を開く重要性を説くのだ。

 20日に行なわれたエクアドルとの開幕戦で、カタールは0対2の黒星を喫した。グループステージ初戦で開催国が勝点を取れなかったのは、史上初めてのことだった。

 スペイン人指揮官のフェリックス・サンチェスは、「責任感とプレッシャーがパフォーマンスに影響した」と振り返った。W杯初出場でありながら開催国の大役を担う立場が、カタールの選手たちからいつものプレーを奪ったと考えられる。

■あまりにも消極的だったイラン

 翌21日のイングランド対イラン戦でも、アジア勢が打ちのめされた。カルロス・ケイロス監督が指揮するイランが、2対6の大敗を喫してしまったのである。

 5-4-1に近い5-3-2で構えるイランは、序盤からかなり控え目だった。レギュラーGKのアリレザ・ベイランバンドが、味方選手と衝突して20分で交代したのは不運だった。

 それにしても、彼らの戦いかたはあまりにも控え目だった。消極的だったと言ってもいい。イングランドに押し込まれるとしても、カウンターで背後を取るイメージが、まったくと言っていいほど感じられなかったのだ。

 20日の練習後に、GK川島永嗣がこんな話をしている。

「弱気なところが見えたら、相手に突かれる。18年W杯のベルギー戦も、自分たちが最初から強く入れたことで前半は主導権を握れた。W杯の初戦で弱気な選手はいないし、自分たちを100パーセント信じてピッチに立つ。途中から入る選手も含めて、強い気持ちで入っていかないといけないと思う」

 チーム内で共有されている初戦の重要性は、カタールとイランの敗戦によって、「試合の入りかたに気をつけなければならない」という具体的な対応に結びついている。