ドイツ代表戦の出場メンバー16選手を5段階査定

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月23日にカタール・ドーハのカリファ・スタジアムでカタール・ワールドカップ(W杯)グループE第1節でドイツ代表(同11位)と対戦。過去、4度の優勝経験を誇る“大国”を相手に、極めて重要な大金星を挙げた。

 グループEの強豪国との大一番、森保監督は4-2-3-1の布陣を選択。11月17日のカナダ戦(1-2)で実戦復帰したばかりのMF田中碧(デュッセルドルフ)、DF板倉滉(ボルシアMG)もピッチに送り出した。守備がハマらずにPKから先制点を許す展開になったなか、後半に入ると3-4-2-1に布陣を変更。ここから一気に流れを取り戻したチームは、日本のW杯史上初めてとなる逆転勝利を収めた。

 ここでは各選手たちのパフォーマンスを振り返るべく、選手を5段階評価(最高が五つ星★★★★★)で査定する。(取材・文=FOOTBALL ZONE特派・河合 拓)

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<GK>
■権田修一(清水エスパルス)=★★★★☆
 前半はミドルシュートを止めてシュートストップは良かった。しかし、前半33分には相手選手がフリーになっていたとはいえ、不用意な飛び込みで倒してPKを与えてしまう。後半26分にはDFの動きが止まってしまったなかで、獅子奮迅の活躍を見せてゴールを死守。2点目を与えなかったことが逆転の呼び水となり、最後には意地のハイボールクリアも見せた。

<DF>
■酒井宏樹(浦和レッズ)=★★☆☆☆(→後半30分OUT)
 自陣深い位置でのルーズボールに対するクリアミス、前方へのフィードなど、キックに安定感を欠く。PKを与えてしまったシーンではボールウォッチャーになったか、中央に引っ張られて大きなスペースを作ってしまう。後半に守備がハマってからは、持ち味が出せるようになった。足を引きずっていたのは、この先に向けての不安材料だ。

■吉田麻也(シャルケ)=★★★☆☆
 最終ラインを統率してコンパクトに保ちつつ、相手のシュートに対して身体を投げ出してブロック。失点した直後もチームメイトたちに声をかけて盛り立てるなど、その経験でチームを支えた。3バックになった後半は、長短のフィードでビルドアップの面でも貢献度が高かった。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★★☆
 復帰2試合目でよくぞこのパフォーマンスまで持っていってくれたという働きぶり。前線からの守備がハマらなかった前半は、吉田とともに苦労したもののPKのみの最少失点に抑える。カナダ戦ではノッキングする感があったフィードでも、浅野の決勝点をアシスト。「次は最も状態が良くなるはず」という言葉も頼もしい限り。

■長友佑都(FC東京)=★★★☆☆(→後半12分OUT)
 ドリブルを仕掛けてくるセルジュ・ニャブリに対して粘り強く対応。サイドを崩される場面はほとんどなかった。前線でボールを保持できなかったことから攻め上がる回数も限られたが、前半終了間際にはチャンスにつながりそうなクロスも入れた。

■冨安健洋(アーセナル)=★★★☆☆(←ハーフタイムIN)
 後半から3バックの左で出場。体格でも見劣りしない屈強なDFの投入は、チームに安心感を与えた。チームが攻撃的になったなかでも最終ラインの一角でドイツの攻撃にしっかりと対応した。終盤に倒れ込んでいた点は心配。本人は「流れが悪かったから」と時間稼ぎの意図だったと話したが……。

中盤の柱として存在感を示した遠藤、久保はほろ苦いW杯デビュー戦に

<MF/FW>
■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★★☆
 脳震とうからの復帰戦で、いきなり先発フル出場。布陣の噛み合わせが悪かった前半は、なかなか効果的なボール奪取もできなかったが、運動量豊富に中盤を動いた。後半になってからも運動量は落ちず、さらに球際での強さを発揮する場面が増えたことでより存在感を示した。

■田中 碧(デュッセルドルフ)★★☆☆☆(→後半26分OUT)
 前半は運動量こそ多かったものの、神出鬼没に動くトーマス・ミュラーの対応に苦慮し、相手にチャンスを作られる。持ち前のボール捌きや展開力が発揮される場面もあまりなかった。チームが形を変えた後半は、より攻撃面で周囲と絡む場面も増えていったが、逆転への下地を作ってベンチへ下がる。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★☆
 幻のアシストとなった前半8分の場面をはじめ、ドイツに押し込まれる状況のなかでも常に縦へ仕掛けていく意識を忘れずに、鋭い飛び出しを見せていた。後半にはシャドー、ウイングバックと複数のポジションでプレー。後半27分の好機を生かせず、最後の精度は課題として残った。

■鎌田大地(フランクフルト)=★★★★☆
 守備が機能せずに押し込まれ続けた前半、何度かプレッシングでショートカウンターにつながるボール奪取を見せた。後半はシャドー、ボランチとポジションを変えながら、どちらかというと黒子に徹し、交代出場してきた選手たちを気持ち良くプレーできるようにサポートした。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★☆☆☆☆(→ハーフタイムOUT)
 前半22分、高い位置で良い形でボールを奪ったものの右足でのクロスがブロックされる。ボールを持った同30分にはアントニオ・リュディガーにあっさりボールを奪われるなど、攻撃の起点を作ることができず。守備では奮闘も見せたが、W杯デビュー戦は世界トップとの差を感じさせる内容となった。

■前田大然(セルティック)=★☆☆☆☆(→後半12分OUT)
 前半8分にゴールネットを揺らしたものの、身体が前に出すぎていたためオフサイドの判定に。マヌエル・ノイアーがいることを意識しすぎたのか、W杯の緊張からか、アメリカ戦で見られた怒涛のプレッシングは鳴りを潜め、2度追い、3度追いする場面もほとんど見られず。先発起用で期待されたはずのプレーを見せられなかった。

同点ゴールの堂安、衝撃の逆転弾マークの浅野に満点評価

■堂安 律(フライブルク)★★★★★(←後半26分IN)
名手ノイアーが弾いたボールを逃さずに、確実にゴールネットに突き刺し、「ヒーローになる」という宣言どおりに同点ゴールを決めた。小柄ながらも相手に当たり負けすることもなく、球際でも良く戦った。

■浅野拓磨(ボーフム)=★★★★★(←後半12分IN)
 ピッチに入ってから、積極的にシュートを打ちに行く姿勢を見せ続ける。ボールを受けてからシュートまでの流れが単調で、リュディガーをはじめとするDFに手こずっていた。それでも後半38分に「靭帯(負傷)仲間」の板倉のロングフィードに反応し、右サイドからここしかないコースでGKノイアーの守るゴールを破る決勝点を決めた。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★★☆(←後半30分IN)
 チームが良い流れになったなかでピッチに入り、しっかりとその流れに乗った。三笘からのパスを受けてゴール前にシュート性のボールを入れてGKノイアーに弾かせて先制点をアシスト。持ち前のチェイシング、プレッシングも普段どおりに行い、超攻撃的布陣のなかで大いに機能した。

■三笘 薫(ブライトン)=★★★★☆(←後半12分IN)
 投入直後はボールを受けることに苦心して、なかなか存在感を示すことはできなかった。それでも自陣での守備が求められる場面でも、しっかりと相手に対応。徐々にボールが回ってくるようになり持ち味を発揮すると、鋭い仕掛けを見せて同点ゴールの起点となった。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)