サッカー日本代表は現地時間27日、FIFAワールドカップカタール・グループE第2節でコスタリカ代表と対戦する。初戦で勝利した日本代表と、大敗して後がないコスタリカ代表。日本代表にとっては鬼門となる第2戦だが、主将・吉田麻也は過去の苦い経験を教訓にして活かそうとしている。(取材・文:元川悦子【カタール】)

●第2戦に臨むサッカー日本代表

「コスタリカは非常に身体能力の高い選手が多いし、組織としてもタフに戦えるチーム。初戦(スペイン代表戦)では0-7という大敗をしましたが、だからこそ、彼らは次戦に賭けてくる。敗戦後のリバウンドメンタリティを持って、我々に挑んでくる。覚悟してこの試合にのぞまなければいけないと思います」

 森保一監督が厳しい表情で強調した通り。27日のカタールワールドカップ(W杯)第2戦・コスタリカ代表戦は生易しいゲームではない。23日のドイツ代表戦と全く異なる戦いになるだろう。

 ご存じの通り、ドイツ代表戦はボール支配率で22%と劣勢を強いられながら、後半一気に盛り返して逆転で歴史的勝利を挙げている。が、コスタリカ代表戦はポゼッション率で上回ると見られる分、アジア予選のように攻略が難しくなるという見方もできる。

 絶対に勝ち点3が必要な相手が前がかりで攻めてくる可能性も少なくないが、日本代表としてはドイツ代表に勝ったという事実をいったん忘れ、フラットな状態で中南米の強敵にぶつかるべきだ。

 キャプテン・吉田麻也も「我々はまだ何も勝ち取っていない」とチーム全体の引き締めを図っている。

「ドイツに勝ってようやくスポットライトが当たった。ここで下手な踊りは見せられない」という独特な言い回しで、内容と結果の伴う戦いを誓っていた。

 とはいえ、日本にとってW杯の第2戦というのは鬼門だ。

●過去6大会、第2戦で勝利したのは…

 日本代表が出場した過去6大会のうち2戦目に勝ったのは2002年の日韓W杯のロシア代表戦のみ。この時は初戦でベルギー代表に引き分け、開幕連勝はできていない。それ以降もベスト16に進出した2010年の南アフリカW杯もオランダ代表に敗れているし、2018年のロシアW杯もセネガル代表戦は2-2のドロー。2連勝で勝ち点6を確保することがいかに難しいかがよく分かるだろう。

「2連勝っていうのは日本としてやったことがない。ただ、前回は初戦のコロンビアの試合はラッキーな部分が多くて勝ったと思うんです。今回はドイツに勝って、新たな道を切り開いているという実感を持ちながらやっている。ここでもう1回、勢いに乗りたい」と吉田は「8強に至る前の新たな景色」を見出す構えだ。

 そのためにも、まずはコスタリカ代表の出方をしっかりと見極めることが肝心。勝利以外は敗退という彼らが積極的に攻めに出てくると見る久保建英のような選手がいる反面、「どういう戦いをしてくるか未知数」と見る者もいる。吉田もどちらかというと後者寄りだが、「両方に備えておかなきゃいけない」と口を酸っぱくして言う。

「前から来るなら絶対に失点してはいけないし、勢いに乗らせてはいけない。北中米カリブ海予選でもそうでしたけど、彼らはフィジカル的に優れているし、粘り強く戦うことを得意としている。我々の嫌なことをしてくるでしょうし、そこの駆け引きに負けないことが重要になってきます。0-0の時間が長くなればなるほど、向こうはプレッシャーがかかる。そう仕向けていきたいですね」と逆に相手を苦境に陥れるような「ずる賢いマネジメント」を模索していくという。

 そこで、彼がイメージするのが、2014年のブラジルW杯におけるコロンビア代表戦だ。

●8年前の悪夢が今こそ活かされる

 当時の日本代表はコートジボワールに敗れ、ギリシャに引き分けという大苦戦を強いられ、勝ち点1で3戦目を迎えた。この最終戦で大量得点を取って勝たないと次へは進めない。崖っぷちの状況で頭から前がかりでぶつかったのだ。

 その結果、前半早い段階でPKを献上してフアン・クアドラードに1点を奪われたものの、岡崎慎司が前半終了間際に一矢報いて、何とか1-1で折り返すに至った。

「前半はガンガン行って、割と戦えていたんですけど、明らかに後半落ちて、スペースがある中で得点を重ねられてしまった。あの時の経験を生かしたい。焦らず失点をしないことが重要だと思ってます」と吉田はハメス・ロドリゲスにいいようにやられた8年前の悪夢に思いを馳せつつ、あの時のコロンビア代表のような戦い方をイメージする。そうすれば、必ずコスタリカを息切れさせられるという確信を抱いているからだ。

 日本代表がそこまでの試合巧者になれるか否か。それはコスタリカ代表戦の非常に大きなポイントだ。チームマネジメントを一歩間違えれば、リスタートやカウンターに秀でる相手に失点を許し、ガッチリ守られてしまう。そういった最悪の展開だけは回避しなければならない。吉田や長友佑都が味わった苦い思いを生かすのは、まさに今なのだ。

●吉田麻也が描く理想と本音

 彼らベテランは最終予選突破が決まった後、代表活動のたびにドイツ代表・コスタリカ代表・スペイン代表とどう戦うべきかを徹底的に話し合ってきたという。吉田は9月シリーズの際には森保監督と議論を重ね、自室にほとんどいなかったことを明かした。そこまで緻密な準備を重ねてきたのだから、コスタリカ代表相手にミスを犯すはずがない。彼は確信を持って第2戦に向かうことだろう。

「スペイン6・ウチ6で次の試合に行けることが理想中の理想。前回は4で勝ち上がりましたけど、やっぱり安心できないですよね。だから6取れればっていうのはあります」

 そんな本音を吐露した吉田。ただ、今回のグループは6を取っても安心できない部分がある。というのも、日本代表対コスタリカ代表戦の9時間後に行われる試合でドイツ代表がスペイン代表に勝ち、最終戦でドイツ代表がコスタリカ代表を下し、スペイン代表が日本代表を倒すようなことがあれば、3チームが2勝1敗で並ぶからだ。

 そのシナリオを視野に入れると、やはり得失点差も重要になってくる。もちろん吉田らは「今はそういうことより目先の勝利に集中すべき」と意思統一を図っているが、1つでも多くゴールを重ねておくことが大事。特にオープンな展開になるであろう後半に若いアタッカー陣が思い切って行けるように、吉田は最終ラインの重しとして90分間、安定した守りを演出しなければいけない。

 酒井宏樹と冨安健洋の欠場が決定的になっている今、彼の統率力やリーダーシップはより重要性を増してくる。ドイツ戦で見せたような競り合いや1対1の強さ、的確なラインコントロールを次戦も維持し、未知なる2連勝を引き寄せてほしいものである。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

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