前半早々に先制を許すも後半の交代が当たり逆転勝利、ゴールを決めた堂安と田中に加え守備貢献の前田にも高評価

 日本代表は現地時間12月1日、カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第3戦のスペイン代表との試合に挑み、2-1の逆転勝利を飾った。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏が、スペイン戦の出場16人を採点。スペイン相手に勝利を呼び込んだ堂安や田中ら攻撃陣に加え、守備に奮闘した3バックを支えた選手たちにも一定の評価を与えている。

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 日本代表・スペイン戦の出場メンバー&監督採点(10点満点)

<GK>
■権田修一(清水エスパルス) 7点
 アルバロ・モラタのゴールを防ぐために、権田がすることはほとんどなかった。試合終了間際に同点弾を防ぐため賢明なストップ。

<DF>
■板倉 滉(ボルシアMG) 6点
 日本は11分にアスピリクエタのクロスからモラタがスペインに先制点をもたらしたが、それ以降は日本が相手を寄せ付けないパフォーマンス。そのなかで不可欠な存在だった。

■吉田麻也(シャルケ) 7点
 アセンシオのシュートを権田が弾いた後のクリアは日本が勝ち点3を獲得するうえで非常に重要だった。不慣れな守備のセットの中でも本当に素晴らしい働き。

■谷口彰悟(川崎フロンターレ) 7点
 ワールドカップ初出場。スペインほどの実力者が相手ではこわばってしまうのも無理はなく、ゴールシーンでは簡単に通り抜けられてしまったが、彼の活躍は大きな収穫だった。

久保は厳しい前半に懸命のプレー、鎌田は本調子を出せず

<MF/FW>
■伊東純也(スタッド・ランス) 7点
 右ウイングバックとしてのプレーを求められ、しばしば深い位置まで下がった。日本はフラットな5バックでプレーしているように見えるほどだった。序盤にはサイドネットを揺らすシュートを放ち、彼のヘディングが堂安の同点ゴールにつながった。

■守田英正(スポルティング) 6点
 森保監督は中盤で遠藤航をベンチに置き、守田と田中が中央でコンビを組む予想外のシフトを行った。遠藤のような守備的な能力に欠け、スペインにボールを保持される展開でほとんど関与できなかった。

■田中碧(デュッセルドルフ) 8点
 中盤に遠藤不在で日本は中央がソフトになることが懸念された。しかし、田中のエネルギーがそれを補った。ゴールに飛び込んだ決勝点の場面でもそれは存分に発揮された。

■長友佑都(FC東京) 6点
 セサル・アスピリクエタがモラタの先制点につながるクロスを上げた時、このベテランは不在だった。ハーフタイムに森保監督がテンポアップを図って交代したことに驚きはない。

■久保建英(レアル・ソシエダ) 6点
 スペインにボールを支配される厳しい前半に懸命のプレーを見せた。よくプレッシャーをかけ、鎌田とポジションを入れ替えながらチャンスをつくる役割を担った。

■前田大然(セルティック) 8点
 疲れを知らない走りとプレッシングで試合の流れを作った。試合の序盤からブスケッツを慌てさせ、堂安の先制点も彼のプレスが起点になった。

■鎌田大地(フランクフルト) 6点
 試合の端に追いやられている場面が多く、今大会ここまではベストパフォーマンスとは言い難い。

サブ起用に答えた三笘と堂安を8点評価、冨安は終盤出場で守備の強度を見せる

<途中出場>
■三笘薫(ブライトン) 8点
 日本代表の先発に選ばれるまでは、なぜ彼がベンチに留まっているのかという疑問は常に湧いてくるだろう。しかし、森保監督は明らかに彼をインパクトのあるサブとして起用することを好み、この試合でもそれが功を奏した。彼の諦めない姿勢が田中の決勝点をもたらした。

■堂安律(フライブルク) 8点
 フライブルクのFWはまたもベンチから素晴らしいパフォーマンスを披露した。同点弾はシモンがほとんど何もできないほどの強烈なシュートだった。

■浅野拓磨(ボーフム) 6点
 前田との交代で投入され、スペインのバックラインを苦しめたセルティックの選手と同じようにハードワークした。それほど効果的ではなかったが、次の試合ではスタメンに名を連ねる可能性がある。

■冨安健洋(アーセナル) 6点
 残り20分ほどで出場。森保監督はなぜ今大会で最も重要な2試合でアーセナルの選手を起用しなかったのかという疑問は残る。試合の最終局面で守備の強度をさらに高めた。

■遠藤航(シュツットガルト) ※短時間のため採点なし
 終盤に投入され、守備の堅固さをさらに高めた。先発メンバーから外されたのは驚きだった。(マイケル・チャーチ/Michael Church)