ひとつの判定が試合の結果のみならず、大会を戦い続けられるかどうかに影響したケースは、これが初めてではない。

 12月1日に行われたカタール・ワールドカップのグループE最終節、スペイン対日本の一戦で世界的に話題となったのが、2-1と勝利した日本の決勝点を巡る判定だ。

 田中碧のゴールは、三笘薫が折り返す前にボールがゴールラインを割っていたかが物議を醸している。審判団は当初、得点を認めなかった。だが、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)が介入し、判定が覆る。ゴールが認められ、試合はそのままスコアが動かず、日本の勝利に終わった。

 もしも日本がスペインと引き分けていれば、ドイツはベスト16に進出していた。つまり、ラインを割っていたという判定になっていたら、生き残ることができていたかもしれない。

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 英紙『Daily Mail』によると、イングランドではそんなドイツの敗退に胸のすく思いをしたサポーターたちがいるという。2010年の南アフリカ大会ラウンド16でイングランドがドイツに敗れた際、同じようにラインを割ったかどうかを巡る判定が物議を醸したからだ。

 12年前の対戦で、ドイツに2点を先行されたイングランドは、1点を返して迎えた前半終盤、フランク・ランパードがミドルシュート。ボールはクロスバーを叩いてからグラウンドに落ちる。映像では明らかにラインを割っていたが、審判団の判定はノーゴールだった。

 ゴールラインテクノロジーがなかった時代の誤審で同点にできなかったイングランドは、後半にさらに2点を失い、1-4と大敗。ベスト16で姿を消している。

 今回の田中のゴールを巡る判定を受け、一部のサポーターからは以下のような声が上がった。

「物議を醸しているとかどうでもいい。これでドイツもどういう気分か分かっただろう。日本、よくやった。彼らはふさわしかった」
「ドイツはこれでイングランドとランパードがどう思ったか分かるだろう。ラインを割ったかどうかで突破か敗退かが分かれる『物議を醸した』ゴールだ」
「あれは10年のランパードの幻のゴールだ。報いを受けるのに12年かかったかもしれないけど、ドイツがこうやって敗退するのを見られたのは良い気分だ」

 日本の歴史的勝利は、思わぬところでサッカーの母国の一部ファンを喜ばせたようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部