カタール・ワールドカップも、残すところあと2試合。本稿では、日本時間12月17日の24時にキックオフ予定の3位決定戦、クロアチア対モロッコを展望する。両国はグループFで同居し、初戦で対戦。0-0のスコアレスドローだったが、今回は果たして――。

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 初戦で当たった相手との“再戦”ということ自体が極めて珍しいが、かつてないモチベーションの高い3位決定戦になることが予想される。

 前回大会準優勝のクロアチアは、決勝トーナメント以降は日本、ブラジルにPK戦で勝利してきたが、準決勝でアルゼンチンに0-3で完敗した。ただ、ズラトコ・ダリッチ監督も選手も3位という結果を勝ち取って帰ることで一致団結しているようだ。

 独立国家としてクロアチアが初出場した1998年のフランスW杯で、オランダに勝利して3位を勝ち取ったチームは伝説であり、選手としては代表と無縁だったダリッチ監督はもちろん、ルカ・モドリッチなどベテラン選手も記憶を共有している。

 20歳のヨシュコ・グバルディオルら若手は当時、まだ生まれていないが、話を聞かされて育っているだろう。そして37歳のモドリッチにとって、このモロッコ戦はW杯のラストゲームになるかもしれない。

 一方、スペイン、ポルトガルを破ってきたモロッコは、準決勝ではフランス相手に健闘したが、終盤に突き放されて0-2で敗れた。スタートは5バックで臨むも、キャプテンのロマン・サイスが左足の負傷を再発させて、元の4バックに変更。そこから躍動的な戦いでフランスを苦しめたが、勝利は手にできなかった。

 ワリド・レグラギ監督は大会が進むにつれ、体力面が厳しくなっていることを認め、そこがファイナルに進んだチームとの明確な差であることを主張する。

 しかしながら、アフリカ勢として初のベスト4に躍進したモロッコにとって、3位で終えることの価値は大きい。さらにカタール開催ということで、“アラブ代表”としての期待もある。ここまでチームを支えてきた熱狂的なサポーターが、この3位決定戦にどれだけ駆けつけるかは分からないが、応援の数とボリュームではクロアチアを圧倒することが予想される。
 
 グループステージの初戦はお互いが慎重なところもあり、探り合いのなかで、クロアチアはモロッコの守備を崩せず、逆にモロッコもカウンターでチャンスを得るものの、攻めきれずにスコアレスドローとなった。

 今回はすでに手の内をおおよそ知っているだろうが、体力的な疲労にどう向き合っていくのか。クロアチアは中3日、モロッコは中2日という差は、決勝の中4日or中3日よりも影響するかもしれない。

 おそらく4-3-3のぶつかり合いになるなかで、攻撃のキーマンはクロアチアが中盤のモドリッチと左サイドのイバン・ペリシッチ、モロッコはアゼディン・ウナヒと右サイドのハキム・ジイェフだろう。

 ただ、やはりクロアチアのマルセロ・ブロゾビッチ、モロッコのソフィアン・アムラバトというチームの攻守をオーガナイズしてきた2人の強度も、勝敗に大きく関わってきそうだ。両チームともスタメンは固定的だが、途中出場で結果を出している選手も多く、コンディション面を考えた入れ替えもあるかもしれない。

 体力的にはギリギリな状況で消耗戦になるかもしれないが、両チームにとって大会最後の試合になる。力を出し切った結果、どちらに勝利が転がり込むか。大会を通じて評価を高めてきたダリッチ監督とレグラギ監督が、どこでどう交代カードを切っていくかにも注目だ。

取材・文●河治良幸

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