母国の代表としてワールドカップに出場することは、フットボーラーとしての夢の1つ。国を背負うこれ以上の誇りや名誉はない。FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)11月20日の開催まで50日を切り、日に日にW杯ムードが漂い始める中、W杯代表メンバーに漏れる可能性がある選手が見えてきた。
カタールW杯の登録メンバーは通常の23名から26名に拡大しているが、その枠に入るかどうか、出場国の選手たちはこの10月が勝負になるだろう。本来のパフォーマンスを発揮することができず苦労し、カタールW杯出場が叶わないかもしれない正念場を迎えた欧州選手たちをご紹介したい。
アンス・ファティ(バルセロナ)スペイン代表
9月22日から28日に行われたUEFAネーションズリーグで、スペイン代表のルイス・エンリケ監督がFWアンス・ファティを招集外にしたことは最も驚くべき要素の1つだった。2022年6月に招集されて以降、所属するバルセロナでの出場時間の少なさが気になったようだ。
ファティは2022/23シーズンここまで行われたラ・リーガ7試合では1試合の先発出場に留まり、それ以外はすべて途中交代での出場となっている。2020年11月から負傷を繰り返しているファティ。2021年にはハムストリング断裂の怪我を追うも手術回避を発表し、2022年5月初めに退院している。エンリケ監督は、カタールW杯出場のためには負傷前の状態に仕上げなければならないと言及している。
ナイフ・アゲルド(ウェストハム・ユナイテッド)モロッコ代表
モロッコは今回のカタールW杯で過小評価されている参加国の1つである。しかしながら才能持つ選手が存在する。グループステージではベルギーやクロアチアに競り勝つなどし、ポテンシャルを秘めている。
その中、空中戦に強く高いパスセンスを持つDFナイフ・アゲルドは、この夏ウェストハム・ユナイテッドへ移籍を果たすも直後に足首を負傷した。回復するのは10月下旬と想定されており、リーグ戦やUEFAカンファレンスリーグでの出場機会は望めるものの、カタール行きを決断するのはいささか不安が残ると見ている。
トレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)イングランド代表
イングランド代表で最もポジション争いが激しいとされる右サイドバック。運悪くワールドクラスの職人たちが同時期に合わさってしまった。カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)、キーラン・トリッピアー(ニューカッスル)、リース・ジェームス(チェルシー)そしてトレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)。ガレス・サウスゲート代表監督が誰を右サイドに指名するか、意見が交わされてきた。
そんな中アレクサンダー=アーノルドは、創造性やチャンスメイクに定評があるものの、リバプールで失点の起点になるミスを連発し守備における信頼を失いつつある。すでに右サイドには様々な選択肢があるため、アーノルドが除外されても何ら不思議なことではないだろう。
ポール・ポグバ(ユベントス)フランス代表
MFポール・ポグバは、2018年のロシアW杯でフランス代表を優勝へ導いたメンバーの1人である。優勝経験を持つ功労者に今大会の出場機会を与えることは重要な任務であると考えられるが、この夏にユベントスへ移籍してから膝の怪我に悩んでおり、グループステージ初戦までに間に合うようには見えない。
ユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は「ポグバは1月に復帰することになるだろう」と語っており、W杯出場についての言及は避けた。ポグバのカタールW杯出場は危ういことを意味している。
ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)スペイン代表
GKダビド・デ・ヘアは2021/22シーズン、マンチェスター・ユナイテッドで印象的なプレーを見せた選手の1人だったが、この秋のカタール行きを確実にしていない。デ・ヘアが最後にスペイン代表でプレーしたのは2020年まで遡る。
スペイン代表の現在の正GKにはウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)が立ちはだかり、ダビド・ラヤ(ブレントフォード)やロベルト・サンチェス(ブライトン)がサブとして控える。デ・ヘアが序列で遅れと取っていることには変わりない。ルイス・エンリケ監督も3人に対して一定の信頼を寄せており、ここに割って入ることはかなり難しいと考える。
リュカ・エルナンデス(バイエルン・ミュンヘン)フランス代表
DFリュカ・エルナンデスは、9月14日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ第2節バルセロナ戦で先制点を挙げ、バイエルン・ミュンヘンを2-0の勝利に導くも、左内転筋を損傷した。
それ以降、クラブやフランス代表メンバーでの出場機会を失い、少なくとも後5週間は欠場する可能性が高い。その間、ディディエ・デシャン代表監督の目に留まるプレーをできるかどうかは微妙なところである。
マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)イングランド代表
FWマーカス・ラッシュフォードはガレス・サウスゲート監督率いるイングランド代表の中心選手だったが、EURO2020決勝のイタリア戦に敗れて以来、代表メンバーとしてプレーしていない。
昨2021シーズンのラッシュフォードは、イングランドを代表する水準のパフォーマンスには程遠かった印象だ。エリック・テン・ハフ監督の下新体制となったマンチェスター・ユナイテッドでの今2022/23シーズンは、徐々にトップフォームのプレーを見せる。しかし安定した状態をクラブでも代表でも維持するという課題に直面している。