日本代表はカタール・ワールドカップで2大会連続のベスト16敗退に終わった。ここから再び、4年後の大舞台に向けて熾烈なメンバー争いが繰り広げられていくが、次のW杯までにA代表へ定着しそうな選手は誰か。スポーツライターの加部究氏に、2026年W杯に臨む日本代表の“理想イレブン”を訊いた。

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 遠藤航、伊東純也、鎌田大地らは4年後も健在ぶりを示し、チームを牽引している可能性が高い。特に森保体制が継続なら代謝は限定的になるはずだが、ここでは期待値を込めて新戦力候補を優先した。

 まずGKは、すんなり1人に絞り切る状況にはないと思うが、鈴木彩艶のポテンシャルの大きさをとった。ただし現状、浦和ではチャンスを与えられていないので、そろそろコンスタントに出場機会を得られるチームでプレーしてほしい。環境に恵まれ開花すれば、ハイボールに強く攻撃の起点にもなれる、新時代に相応しい守護神が誕生しそうだ。
 
 ディフェンスラインは、当然、冨安健洋と板倉滉が軸になるが、今回もメンバー入りした伊藤洋輝を筆頭に、瀬古歩夢、チェイス・アンリ、国内でも藤井陽也、田中隼人らサイズと高水準の技術も備える有望株が目白押しだ。

 シュツットガルトという環境を考えても、大化けの可能性を秘めたチェイス・アンリがスタメンを脅かせるようになれば、冨安を左右のSBに回すこともできてバリエーションの幅が広がる。

 右SBは、今後の抜擢が確実視される菅原由勢が、むしろウイングバックで本領を発揮できそうなほど、攻撃的な仕掛けを得意としているので、従来の酒井宏樹とは別のテイストが加わりそうだ。

 左SBは、カタール大会を故障で棒に振った中山雄太が第一選択肢だが、スピーディなオーバーラップに特長を持つバングーナガンデ佳史扶や畑大雅らが、下から突き上げてくれば層の厚みが出て来る。

 また、FC東京でバングーナガンデのチームメイトなので現実的ではないが、身体が強く闘争心に満ちていて、同じレフティでキックの精度も高い松木玖生にも適性を感じる。現状でボランチのポジション争いは最も熾烈を極めるので、検討してみてほしいオプションだ。
 
 ボランチでは、遠藤がキャプテンマークを巻いている可能性も高いが、成長期待値を込め、あえて田中碧と守田英正のコンビを選んだ。守田はすでに急角度の階段を駆け上がっており、この勢いを考えれば4年後は不可欠な軸になっていても不思議はない。

 一方の田中は明らかに移籍先を誤ったので、1日も早く現状を打破してほしい。本来備える資質やスケールを考えても、4年後には大黒柱で君臨しているべき選手だ。ただし、すぐ後ろからは藤田譲瑠チマや、レアル・マドリ―Bというハイレベルな環境に身を置く中井卓大らが追いかけており、板倉の起用も可能なのを考えると、まったく気の抜けない状況である。
 
 そして攻撃面では、東京五輪から続く久保建英と堂安律のコンビが一層、熟成されていくはずだ。やはりゲームを読めて、緩急に変化をつけながら創造性を発揮できる久保はヘソに置きたい。ただ、鎌田との4年間に渡るポジション争いは、相当ハイレベルになりそうなので息は抜けない。

 カタール大会で世界にインパクトを与えた三笘薫の濃密な4年間はほぼ約束されており、必然的に間もなくスタメンに定着していくはずなので、次回大会は逆に本間至恩や中村敬斗らが新しいオプションを与えていくことになりそうである。

 結局、2列目に豊富なメンバーを揃える分、どうしても布陣は1トップになりがちだが、そうなると高さのある原大智は重要なオプションになる。さらに上田綺世も捲土重来を期して変貌を遂げているはずなので、最前線にスプリンターばかりではなく起点ができれば、必然的にカウンター志向から脱却への道が開けていくに違いない。

文●加部究(スポーツライター)

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