W杯後の選手の集中力はどうなっているのか
ワールドカップ中断前最後のリーグ戦に臨んだマンチェスター・ユナイテッドはアウェイでフラムと対戦。
14分幸先よくクリスティアン・エリクセンが先制に成功する。カゼミロのタックルから攻撃が始まり、アントニー・マルシャル、ブルーノ・フェルナンデスとつないで最後はエリクセンが押し込んだ。
しかしフラムも昇格組ながら力のあるチームであり、61分ダニエル・ジェームズのゴールで同点に追い付く。ジェームズは以前ユナイテッドに所属しており、恩返し弾となった。
状況を打破すべくエリック・テン・ハーグ監督は期待の若手をピッチに送り出す。18歳FWアレハンドロ・ガルナチョだ。左サイドに投入されたドリブラーはボールを貰うと積極的に仕掛けボックス内に侵入する。ただ前のめりに仕掛けるだけでなく、味方を使うなど視野の広い選手であり、ユナイテッドの攻撃が左サイドに集まった。
すると、後半アディショナルタイムそのガルナチョが試合を動かす。左サイドでボールを受けると、シンプルなエリクセンとのワンツーで抜け出しフィニッシュ。ボールはゴールネットを揺らし、土壇場でユナイテッドがリードを得た。その後タイムアップの笛がなり、ユナイテッドは新星の活躍で勝ち点3を獲得している。
「試合を完全に変えた18歳、ユナイテッド最大の脅威」「天才的な瞬間」
試合後、英『Evening Standard』や英『Squawka』といったメディアはゴールを決めたガルナチョを絶賛している。膠着状態を積極的な姿勢で打破しようと奮闘し、結果終盤にゴールを決めている。
「4週間の休暇がある。危険な4週間だ。試合がなく集中力を失ってしまう。彼がこれからの3週間、4週間をこれまでと同じ姿勢で臨むことができればプロセスは進むが、そうでない場合、逆戻りになってしまう」
英『Daily Mail』ではテン・ハーグ監督がゴールを決めたガルナチョに対し、集中力を切らさぬようアドバイスを送っている。例年であればここから試合は続くが、今季は特殊でW杯に出場しない選手は約1カ月間公式戦がない。ブレイク寸前の若手にとっては難しい時間であり、テン・ハーグの言うよう集中力を切らしてしまえば、この勢いは途絶えてしまう。
これは選手だけでなく、他クラブにも言えることだ。現在首位のアーセナルはプレミアで最も勢いのあるチームだが、再開後どうなっているかは分からない。ミケル・アルテタ監督のマネジメント次第だ。逆に前半戦は不調だったリヴァプールやチェルシーが息を吹き返す可能性もあり、これからの1カ月が各チーム、選手、監督に及ぼす影響は計り知れない。
ユナイテッドはアカデミーから優秀な選手を輩出し続けるクラブであり、次がガルナチョなのだろう。フラムの守備陣に攻撃を完璧に防がれる画面もあったが、短い時間でゴールを奪っており、ガルナチョの勝利となった。あとはこの集中力、モチベーションをどれだけ維持できるかが彼の今後を決めることになりそうだ。